2012 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖による細胞表面生体分子の機能の調節・制御機構の解明
Project/Area Number |
24770138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栂谷内 晶 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 主任研究員 (60392635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリラクトサミン / 糖転移酵素 / β1,3- N-アセチルグルコサミン転移酵素 / 糖タンパク質 / グライコプロテオミクス解析 / 糖鎖機能 / 免疫 |
Research Abstract |
糖転移酵素遺伝子を欠損したモデル動物(マウス)は、多様な生物機能(表現型)の異常を認める。その為、種々の糖転移酵素の標的タンパク質を同定することは生体内における糖鎖の機能を理解する上で重要な情報である。 本課題では、基幹的糖鎖構造の一つであるポリラクトサミン糖鎖合成に関与する糖転移酵素、β1,3- N-アセチルグルコサミン転移酵素2(β3GnT2)遺伝子ノックアウトマウス(B3gnt2(-/-)マウス)の細胞・組織を用いて、各種解析をすることによって、生合成されるポリラクトサミン糖鎖の標的分子と機能の解明を試みるものである。 ポリラクトサミン糖鎖の発現に関する基礎的な知見に関しては、未だ不足していると考えられるため、まず始めにポリラクトサミン糖鎖のキャリア分子の同定を目的とした。そこで本課題では、B3gnt2(-/-)マウスと野生型マウスから、それぞれ糖鎖キャリア分子(糖ペプチド)をポリラクトサミン糖鎖に特異的なレクチンを用いて捕集し、これらのグライコプロテオーム解析を行うことにより、β3GnT2に特異的な標的タンパク質の大規模同定を進める。 今年度は、ポリラクトサミン糖鎖のキャリア糖タンパク質を効率的に捕集するための系(レクチンアフィニティーなどによる捕集の系)の構築を行ってきた。まず、ポリラクトサミン糖鎖に結合するレクチンを選択し、これを用いてアフィニティーカラムを作製した。このカラムに細胞抽出物を通した後に溶出した。当該の溶出物をレクチンブロットで確認したところ、ポリラクトサミン糖鎖を含む糖鎖構造を有する糖タンパク質群が濃縮されていると考えられた。野生型マウスB細胞からは50以上の糖タンパク質分子を同定したが、まだレクチン捕集あるいは溶出の効率が悪いと考えられるため、現在も継続して系のブラッシュアップを行うと同時にキャリア分子の同定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは野生型マウスを用いて、グライコプロテオーム解析技術により、ポリラクトサミン糖鎖のキャリア分子を網羅的・ハイスループットに同定するための系の構築(今年度はまずポリラクトサミン特異的なレクチンを選定し、このレクチンによる捕集系の構築)を進めた。その結果、多くの標的糖タンパク質を同定に成功したが、系自体には、まだ改善の余地があると判断している。しかしながら予備実験的に先行した解析結果では、マウスB細胞由来のポリラクトサミン糖鎖キャリア糖タンパク質は50分子以上が同定できた。同定された分子の中には、文献上ポリラクトサミン糖鎖を持つとされているものが複数リストアップされているとともに、幾つかの分子については本課題内での生化学実験を通して確認もしている。幾つかの問題点も明らかとなってきているが、ほぼ大規模同定への見通しは立ってきていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、得られる分子情報は膨大な量にのぼると思われるので、バイオインフォマティクス技術も導入し、これを駆使することで、糖鎖の機能解明の一端とすることも考慮する。β3GnT2酵素に特異的な標的タンパク質を(グライコ)プロテオーム解析で同定する本課題の解析手法によって、標的タンパク質の分子性状に共通した特徴および傾向が明らかになると考えられる。このことにより、特定のタンパク質に対し、ポリラクトサミン糖鎖が選択的に付加されるメカニズムの解明が進むと期待される。まずはB細胞を対象として解析(キャリア分子同定)を進めていくが、大きな視点でポリラクトサミンの免疫における機能解明を行うためには、他の免疫細胞も対象にする必要が出てくる可能性もある。解析対象とする免疫細胞・組織、あるいは生理条件(細胞状態)などは必要に応じて随時考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)