2013 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖による細胞表面生体分子の機能の調節・制御機構の解明
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24770138
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栂谷内 晶 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 主任研究員 (60392635)
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Keywords | 糖鎖 / ポリラクトサミン / ポリ-N-アセチルラクトサミン / 糖転移酵素 / N-アセチルグルコサミン転移酵素 / グライコプロテオミクス / 糖タンパク質 / 免疫 |
Research Abstract |
本課題では、基幹的糖鎖構造の一つであるポリラクトサミン糖鎖合成に関与する糖転移酵素、β1,3- N-アセチルグルコサミン転移酵素2(β3GnT2)遺伝子ノックアウトマウス(B3gnt2-/-マウス)の細胞・組織を用いて、各種解析をすることによって、生合成されるポリラクトサミン糖鎖の標的分子と機能の解明を試みるものである。 ポリラクトサミン糖鎖の発現に関する基礎的な知見に関しては、未だ不足していると考えられるため、まず始めにポリラクトサミン糖鎖のキャリア分子の同定を目的とした。そこで本課題では、B3gnt2-/-マウスと野生型マウスから、それぞれ糖鎖キャリア分子(糖ペプチド)をポリラクトサミン糖鎖に特異的なレクチンを用いて捕集し、これらの比較グライコプロテオーム解析を行うことにより、β3GnT2に特異的な標的タンパク質の大規模同定を進める。 今年度は、ポリラクトサミン糖鎖のキャリア糖タンパク質を効率的に捕集するための系(レクチンアフィニティーなどによる捕集の系)の構築の最適化と確認を行ってきた。まず、ポリラクトサミン糖鎖に結合するレクチンを用いてアフィニティーカラムを作製し、これを用いて細胞抽出物を濃縮した。その結果、野生型マウスB細胞からは50以上の糖タンパク質分子を同定した。またマウスの脾臓でも同様に解析したところ、270以上の糖タンパク質分子を同定した。レクチン捕集あるいは溶出の効率(濃縮効率)を検討するとともに、現在も継続して系のブラッシュアップ(他のレクチンと組み合わせる系など)を行うと同時にキャリア分子の同定を行っている。また、得られたキャリア分子情報を、バイオインフォマティクス技術(KeyMolnet等)による分子の局在、性状解析を行い、その傾向性などを予備試験的に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは野生型マウスを用いて、グライコプロテオーム解析技術により、ポリラクトサミン糖鎖のキャリア分子を網羅的・ハイスループットに同定するための系の構築(今年度までに捕集用レクチンを選定し、このレクチンによるキャリア糖タンパク質捕集系の構築)を進めた。予備実験的に先行した解析結果では、マウスB細胞由来のポリラクトサミン糖鎖キャリア糖タンパク質は50分子以上(またマウスの脾臓において270以上の糖タンパク質分子)が同定できた。同定された分子の中には、文献上ポリラクトサミン糖鎖を持つとされているものが複数リストアップされているとともに、幾つかの分子については本課題内での生化学実験を通して確認を行った。系の改善をしつつ、再現性を含めた大規模同定を進める。また、得られる分子情報が膨大な量にのぼるため、バイオインフォマティクス技術(KeyMolnet等)を導入した。これを用いて、得られたキャリア糖タンパク質分子の解析を行ったところ、ポリラクトサミン糖鎖キャリア糖タンパク質の多くが細胞膜表面に局在すると考えられる糖タンパク質であることが予想された。そこで、予備試験的に膜タンパク質画分を調製し、電気泳動などの生化学的な解析(検証)をおこなったところ、野生型とノックアウトマウスとの間でバンドに差分が認められた。今後繰り返し解析を行うことで、キャリア糖タンパク質の候補リストの精度を上げることを試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
β3GnT2酵素に特異的な標的タンパク質を(グライコ)プロテオームスケールで同定する本課題の解析手法によって、標的タンパク質の分子性状に共通した特徴および傾向が明らかになると考えられる。このことにより、特定のタンパク質に対し、ポリラクトサミン糖鎖が選択的に付加されるメカニズムの解明が進むと期待される。まずはマウス個体より分離された細胞を対象として解析(キャリア分子同定)を進めていくが、大きな視点でポリラクトサミンの免疫における機能解明を行うためには、他の免疫細胞も対象にする必要が出てくる可能性もあるため、随時解析対象を拡大していく。現在までの解析で、数百種類の候補キャリアを同定し、バイオインフォマティクス解析により性状解析を行ったところ、その多くは細胞膜表面に局在する糖タンパク質であることが予想されたため、その他の生化学的手法によっても平行して解析を進める。また、B細胞などを中心に解析を進めてきたが、キャリア糖タンパク質の候補リストの精度を上げるために、繰り返し解析を行う。その際、解析対象とする免疫細胞・組織、あるいは生理条件(細胞状態)などは必要に応じて随時考慮する。また、キャリア分子群の候補リストをより効率的に解析するために、必要に応じて新たなバイオインフォマティクス解析方法の導入を検討する。 また今後、組織レベルでは複雑な結果を招く可能性もあるので、結果の様子を見ながら必要に応じて、マウス個体だけではなく、よりシンプルな解析を行うための遺伝子欠損培養細胞株の作製なども考慮する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] The Lewis X-related α1,3-Fucosyltransferase, Fut10, Is Required for the Maintenance of Stem Cell Populations.2013
Author(s)
Kumar A, Torii T, Ishino Y, Muraoka D, Yoshimura T, Togayachi A, Narimatsu H, Ikenaka K, Hitoshi S.
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 288
Pages: 28859-28868
DOI
Peer Reviewed
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