2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン駆動型細菌べん毛モーターのメカノケミカルサイクルの分子機構
Project/Area Number |
24770141
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 修一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90580308)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | べん毛モーター / 分子モーター / 一分子計測 / ステップ / エネルギー変換 / 細菌べん毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細菌べん毛モーターのエネルギー変換機構を素過程レベルで理解することを目指して、高輝度な金属ナノプローブと超高速サンプリングを組み合わせた一分子ナノ計測システムを構築し、回転ステップの検出を目指す。回転ステップは、べん毛モーターが回転と停止を繰り返しながら動作を指す用語である。ステップを特徴づけるパラメータは、べん毛モーターの化学‐力学エネルギー共役反応を理解する上で重要な情報を数多く含む。 1.26年度は、高速カメラを用いたステップ計測を予定していた。直径100nmの金コロイドを野生型サルモネラ菌のべん毛1本に付着させ、高速カメラで回転を撮影したところ、最高300 Hzで回転するモーターのステップを検出することに成功した(論文作成中)。これまでにべん毛モーターで検出されたステップは、いずれも回転速度1 Hz程度の低速回転モーターで得られたもので、その解析で得られる情報はごく限られたものであった。本研究の成果により、べん毛モーターの作動原理に関する理解が大きく進むことが期待できる。 2.25年度に作製された「べん毛の繊維部分を欠損し、直線の固いフックを持つ」変異型べん毛モーターを試料とする計測を試みた。しかし、べん毛繊維を欠損させたことにより線毛の発現が強く誘導され、フック部分に対する特異的なプローブ修飾を行うことができなかった。遺伝子操作の再検討が必要である。 3.べん毛モーターには約10個の固定子が存在し、回転中にもその数が変化する。26年度には、プロトン透過活性を失った固定子が野生型固定子に比べて高頻度にモーターから解離することを明らかにし、固定子の安定した組み込みにプロトン透過が必要である可能性を示した(Nakamura et al., 2014 BIOPHYSICS)。回転には固定子と回転子の相互作用が必要であると考えられているため、本成果は、回転機構の解明において重要な手掛かりとなると思われる。
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Research Products
(2 results)