2013 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類繊毛・鞭毛の機能多様性に基づく最先端構造解析
Project/Area Number |
24770145
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
上野 裕則 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (70518240)
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Keywords | 気管繊毛 / 精子鞭毛 / 構造解析 / クライオ電子線トモグラフィー法 |
Research Abstract |
真核生物の繊毛・鞭毛は様々な組織・器官に存在し、各組織の機能に応じて運動性や構造が異なっている事が知られている。また、原発性繊毛機能不全症と呼ばれる様々な疾患にも関わるため、医学・生理学的にも重要な細胞小器官の1つである。本研究課題では、哺乳類マウスの様々な組織に存在している繊毛・鞭毛に着目し、その3次元構造をクライオ電子線トモグラフィー法によって明らかにすると同時に、それぞれの構造を比較することである。今年度は、九州大学・生体防御医学研究所のFEI製Tecnai Polara、及び名古屋大学の同機種を用い、加速電圧300kVで複数の繊毛・鞭毛の傾斜画像シリーズを得ることに成功した。撮影の際、傾斜角度やフォーカスのずれを緻密に調整することによって、より詳細な3次元構造を得ることに成功した。マウス精子鞭毛に関しては昨年度得られたものよりもさらに詳細な3次元構造を得ることができた。その結果、基本的な内部構造は気管の繊毛とそれほど変化はないものの、細かな構造に違いがあることが分かった。また、精子鞭毛には軸糸構造の周辺部に存在するOuter Dense Fiber や Fibrous Sheath と呼ばれる精子鞭毛の持っている特有な構造もさらに詳細に確認することが出来た。精子鞭毛のラジアルスポークは気管繊毛で観察されたものと同様、96nm周期中に3本あることが分かり、その一部の構造の中には気管繊毛と異なる構造があることが観察された。一次繊毛に関しては、NIH3T3細胞を培養し、一次繊毛の存在を確認し、単離方法や回収方法を改善した。今後の3次元構造解析によって気管繊毛や精子鞭毛との違いが解明されるものと期待される。
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