2012 Fiscal Year Research-status Report
クリプトクロム/DNA光回復酵素ファミリーの光反応機構の解明
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24770151
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 達也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20569917)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DNA修復 / 光回復酵素 / フラビン / シクロブタン型ピリミジンダイマー |
Research Abstract |
本研究では、進化的に近縁であるが機能の全く異なるクリプトクロム/DNA光回復酵素ファミリーを対象として、DNA修復活性の発現に必要な要素を明らかにし、反応機構を解明することを目的とする。DNA光回復酵素(PHR)には、シクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)を修復するCPD-PHRと(6-4)光産物を修復する(6-4)PHRが存在する。それぞれの光活性化過程と修復過程を赤外分光法で捉え両者を比較した。 ①PHRが活性型になるためには、FADが二電子還元を受けた完全還元型になる必要がある。活性化過程の詳細な解析を行うため、アフリカツメガエル(6-4)PHRを用いて、一電子ずつ還元される反応条件を検討した。試料を200 Kにセットして光を照射したところアニオンラジカル型の生成を確認し、この温度では電子移動反応のみが起こりプロトン移動反応は起きていないことがわかった。この条件でFTIR測定を行い、それぞれの酸化還元状態に特異的に現れるFTIRバンドを確認した。また、タンパク質二次構造を反映するamide-I領域のシグナルから、FAD・-ではβシートの構造変化が、FADH・ではαヘリックスの構造変化が起こることがわかった。 ②CPD-PHRを対象に、そのDNA修復過程と基質特異性の解明を目指して、FTIR分光法による解析を試みた。 大腸菌由来のCPD光回復酵素を大腸菌の大量発現系を用いて調製しFADH・から FADH-への反応のFTIR測定を行った。また、化学合成されたCPDを含むDNA基質を結合させ光反応とDNAの修復の反応のFTIR測定を行った。基質DNAの結合に伴う構造変化の観測を行ったところ、CPD-PHRがCPDを結合する際にαヘリックスの構造変化が確認できたが、この構造変化の様式が(6-4)PHRが(6-4)光産物を結合する際に起こす構造変化と逆向きであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はCPD-PHRと(6-4)PHRを対象として、両者の光活性化過程と損傷DNA修復のFTIRスペクトルデータを得ることができた。これらのデータは、今後の安定同位体標識試料やアミノ酸変異体を用いたシグナルの帰属に向けての基礎となるものであり、光回復酵素の反応機構解明に向けて重要な情報を与えるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はクリプトクロムから光回復酵素への機能転換を目指す。シアノバクテリア由来のクリプトクロム-DASHは、in vivoではDNA修復には関与していない(Hitomi et al., 2000)が、in vitroで一本鎖DNAを修復する活性を持つことが報告された(Selby et al., 2006)。但し、in vitroでは二本鎖DNAの修復は観測されなかった。本研究では、大腸菌などのCPD光回復酵素のアミノ酸配列(図4)を参考に、二本鎖DNAの損傷を結合に重要と考えられるアミノ酸をクリプトクロム-DASHに導入し、CPD光回復酵素への転換を行う。そして作製した変異体ついて各種分光法を適用することでその反応機構を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の用途は試薬、実験器具等の消耗品及び旅費である。特に、サーマルサイクラーを利用した変異体作製のための耐熱性DNAポリメラーゼ、大腸菌用培地の購入に充てる。また、学会へ参加し研究成果を発表するのに必要な旅費を計上した。
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Research Products
(28 results)