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2012 Fiscal Year Research-status Report

DNA複製に関与する超分子複合体の形態解析

Research Project

Project/Area Number 24770157
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionNational Institute of Genetics

Principal Investigator

日詰 光治  国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助教 (10378846)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
KeywordsDNA複製 / クロマチン / ヌクレオソーム / 原子間力顕微鏡
Research Abstract

DNA複製のプロセスにおいて形成される複数のタンパク質複合体から形成される超複合体の解析を行なうため、まず、複製が開始されるゲノム領域(replication origin)を決定するorigin recognition complex (ORC)とクロマチンファイバーとの相互作用様式を調査した。出芽酵母の origin 配列を含むDNA断片とコアヒストンとを用いてクロマチンファイバーを再構成し、それに対するORCの相互作用様式を生化学的解析およびAFMによる可視化解析により調査し、以下の結果を得た。
(1)クロマチンファイバーの形成が、ORC-origin 相互作用が安定化した。(2)ヌクレオソームとORCとから構成される超複合体の形成がAFMにより観察された。(3)制限酵素やMNaseによる部分消化実験を行なったところ、origin付近のヌクレオソーム配位がORCにより再編成される様子が検出された。(4)モノヌクレオソームを用いた結合実験より、ORCが安定にクロマチンに結合するには、リンカーDNA領域が必須であることが示された。(5)Orc1のBAHドメインを欠失した変異型ORCを用いた実験においても、野生型ORCと同様のクロマチン結合能とヌクレオソーム再配位能が検出された。(先行研究によりORCのクロマチン結合にBAHドメインが寄与していることが示唆されていた。)
以上の実験から、ORCは、複製開始点のヌクレオソームを再配位することでnucleosome free regionを作り出し、“nucleosome freeとなった複製開始点特異的DNA配列とORCとの結合”と、“複製開始点近傍のヌクレオソームとORCとの結合”との両方を介して、安定なORC-origin相互作用を確立することを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初計画していた通り、ORCとクロマチンとの結合様式について、再構成系とAFM観察とを組み合わせた実験により順調に研究を遂行した。その結果として、ORCが複製開始点付近のヌクレオソーム再配位を促し、nucleosome free region を作り出す活性をもつこと、このnucleosome-free な領域と、近傍のヌクレオソームとそれぞれに対してORCが相互作用し、安定なORC-origin結合を確立することを見出した。これは、当初期待していたよりもダイナミックなクロマチン構造変化がORCにより促進されることを見出したものである。また、精製系を用いた利点を生かし、この相互作用に必須な因子の調査を行なうことで、この反応にはOrc1のBAHドメインが不要であることや、ATPの加水分解に非依存的な反応であることなどを示すことができた。計画していた、ヒストンテールの修飾の影響については解析を行なうことができなかったが、前述のような解析から、ORC-chromatin相互作用の詳細な分子機構の解明を行なうことに成功したと考えている。
試験管内でのpre-RCの形成と、そのAFMによる可視化解析も24年度の研究計画に挙げていた。これについても実施はしたものの、試験管内で形成させたpre-RCは多くのタンパク質因子を含む凝集体を形成していたため、その構成単位の空間配置の解析などには至らなかった。クロマチン形成によるpre-RC形成の促進あるいは阻害効果についても調査を行なったが、DNAを用いた実験と再構成クロマチンを用いた実験とで、差異は認められなかった。これらpre-RCの実験結果については、来年度以降の研究(CMG複合体の解析等)に活用しうる基礎データと考えている。

Strategy for Future Research Activity

DNAあるいはクロマチン上へのORCの結合や、pre-RCの形成には成功しているため、次のステップである、Sld3-Sld7-Cdc45複合体や、GINS複合体のpre-RC上への集合の解析を行なう。まず、各複合体をAFMにより可視化解析し、その形状の特徴を把握する。必要に応じて、サブユニットやドメインを欠失した複合体を比較対象にし、構成因子の複合体内での配位を解析する。次に、試験管内でこれら複合体をDNA上あるいはクロマチン上で集合させ、その超複合体の形状をAFMにより可視化解析する。
AFMによる可視化解析に加え、生化学的にも、主に超複合体形成におけるクロマチン構造の影響について調査する。クロマチンを、ヒストン修飾やリンカーヒストンの添加により高次構造変化させ、そのクロマチンファイバー上に超複合体を形成させ、クロマチン構造の影響を探索する。
また、試験管内再構成系に加え、酵母細胞からの複製装置の精製とそのAFM観察にも挑戦する。酵母細胞内から、複製開始点を有するプラスミドをクロマチン構造や複製装置を維持した状態で回収し、その観察を行なう。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費として、観察に供する試料を試験管内再構成あるいは細胞内から単離・精製するための生化学実験試薬の購入、および、原子間力顕微鏡観察に使用する探針の購入に充てる。
実験結果についての議論、および情報収集のため、国内外の学会に参加するため、旅費を使用する。(日本分子生物学会年会、および、米国にて開催の研究会議 "Eukaryotic DNA Replication and Genome Maintenance" への参加を予定している。)
今年度の研究では、生化学的な解析について当初予想していたよりも重点を置いたため、原子間力顕微鏡の使用頻度が当初の予想より低かった。その為、原子間力顕微鏡の探針の消費量が抑えられ、今年度予算に未使用分が発生した。未使用分は、次年度以降、原子間力顕微鏡使用頻度が高い時期に使用することとする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] Lamin B receptor recognizes specific modifications of histone H4 in heterochromatin formation.2012

    • Author(s)
      Hirano, Y., Hizume, K., Kimura, H., Takeyasu, K., Haraguchi, T., and Hiraoka, Y.
    • Journal Title

      J Biol Chem

      Volume: 287 Pages: 42654-42663

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.397950

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Core histone charge and linker histone H1 effects on the chromatin structure of Schizosaccharomyces pombe.2012

    • Author(s)
      Prieto, E., Hizume, K., Kobori, T., Yoshimura, S.H., and Takeyasu, K.
    • Journal Title

      Biosci Biotechnol Biochem

      Volume: 76 Pages: 2261-2266

    • DOI

      DN/JST.JSTAGE/bbb/120548 [pii]

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2014-07-24  

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