2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24770157
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
日詰 光治 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助教 (10378846)
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Keywords | DNA複製 / クロマチン / ヌクレオソーム / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
真核生物の染色体において、DNA複製を開始する領域は、ORCと呼ばれるタンパク質複合体が複製開始領域に特異的に結合することによって決定される。前年度までに実施した実験により、クロマチン構造がORCと複製開始領域のDNAとの相互作用を特異的かつ安定化することを見出し、本年度その成果を論文発表した。 複製開始の次の反応である、pre-RCの形成(ヘリカーゼの主要サブユニットであるMCM複合体などのタンパク質がORCが結合しているDNA領域に局在する反応)の可視化解析を目指した実験も実施している。精製タンパク質を用いた試験管内実験は、タンパク質の非特異的凝集が生じ困難であったため、用いるDNAの形状や使用するタンパク質の量の最適化を行った。また、クロマチン再構成は一般的に塩化ナトリウムや塩化カリウムを含む溶液中で行うよう最適化されているが、pre-RCの形成実験にはMCM複合体を安定に保つために塩化物イオンを含まない溶液を使用することが必須である。そこで、試験管内でクロマチン上にpre-RC形成を行うことを目的として、グルタミン酸を塩化物イオンの代わりに含む溶液中でのクロマチン再構成の条件検討を行った。 再構成系でpre-RC観察を行うことが当初の予定通りに進行しなかったため、代替手段として細胞周期G1期に同調した酵母細胞内から精製したミニクロモソーム(プラスミド)のAFM観察を行った。その結果、pre-RCと思われる、ヌクレオソームよりもサイズの大きな楕円形状の複合体がクロマチン上に形成されていることを確認した。更に、S期の細胞から精製したミニクロモソームの観察も実施を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、複製開始の第二段階であるpre-RC形成について、クロマチン上での反応の可視化解析を開始できている。また、細胞内から回収したクロマチンの可視化も進めているため、種々の細胞周期の細胞から回収したクロマチンを比較することで、複製開始制御因子のクロマチン上での複合体形成の可視化解析も、こののち推進できるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では再構成系よりも細胞系(細胞から精製したミニクロモソーム)の試料の観察の方が効果的にMCMを含むクロマチンを可視化できている。そのため、当初の計画では再構成系に重点を置いていたが、再構成系・細胞系双方を並行して推進することとする。細胞系を有効に利用することで、複製の開始制御因子だけでなく複製フォークの可視化にも挑戦し、その前後のクロマチン構造の解析も目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に引き続き、観察試料の調整条件(生化学実験)の検討に注力し、そのためAFM観察の実施頻度が低下した。そのため、AFM探針の使用量が予想より低かったため、次年度使用額が生じた。 これまで試料調整の条件検討に比較的注力してきたが、今後はAFM観察頻度が上昇すると予想される。そこで、効果的な観察および画像解析を行うため、実験補助もしくは解析用ソフトウェアの購入に予算を充てる計画である。
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Research Products
(5 results)