2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24770159
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松永 康佑 独立行政法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 基礎科学特別研究員 (60464525)
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Keywords | タンパク質 / シミュレーション / 分子動力学 / 統計数理 / 機械学習 / 多剤排出トランスポーター |
Research Abstract |
前年度に引き続き、タンパク質などの生体分子の分子動力学シミュレーションで得られるトラジェクトリデータの統計解析を行うためのフレームワークの開発・整備を行った。更に今年度は実証研究として、多剤排出トランスポーターの構造変化経路探索シミュレーションを行い、得られた大規模構造変化トラジェクトリデータの解析を行った。 1. 統計解析フレームワークの整備では、既に公開しているMATLABコード(https://github.com/ymatsunaga/mdtoolbox)に対して多変量解析法(主成分分析)などの関数を加えた。また、解析において律速となる計算(構造の最小二乗フィッティングやmultistate Bennett Acceptance Ratio法 (MBAR法)における繰り返し計算)について、C言語コードでOpenMPによる並列化を行った代替ルーチンを追加し、最大として5倍程の高速化を実現した。 2. 開発した統計解析フレームワークの実証研究として、抗生物質耐性を獲得した細菌による院内感染の原因タンパク質である多剤排出トランスポーターの薬剤排出データへの応用研究を行った。多剤排出トランスポターは「機能回転」と呼ばれる構造変化によって薬剤を排出することが知られている。我々はまず、構造変化経路探索シミュレーション(ストリング法)を行って構造変化のトラジェクトリデータを生成した。得られたトラジェクトリデータに対して、開発した統計解析フレームワークを応用(ボロノイ分割やMBAR法 を適用)した結果、構造変化経路に沿った自由エネルギー変化を求めることに成功した。またプロトン化状態の変化によって自由エネルギー地形が変化することが判明した。今後、更に自由エネルギー変化と構造変化の関係性を調べる解析を推し進め論文として投稿する予定である。
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Research Products
(6 results)