2012 Fiscal Year Research-status Report
緑藻クラミドモナスの翻訳抑制に寄与する新規マイクロRNAの探索とその役割の研究
Project/Area Number |
24770169
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
山崎 朋人 高知工科大学, 工学部, 助教 (70512060)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | クラミドモナス / RNAサイレンシング / microRNA |
Research Abstract |
次世代シークエンサーを用いたsmall RNA-seq解析により、2つの新規クラミドモナスmiRNAを同定した。2つのmiRNA、miRXXXとmiRYYY (正規の番号はmiRbaseに申請中)はそれぞれ30,879 reads per million、45,758 reads per millionずつ得られ、それぞれのmiRNA*も検出された。これらは同一の前駆体RNA (primary-miRNA)にコードされており、前駆体RNAの5’RACE解析から、クラミドモナスのDicerはループ部分からステム部分に向かって前駆体を切断し、miRNA duplexを生み出していることが明らかになった。また、野生型株とRNAi機能不全株Mut20の両miRNAをノーザンブロットで解析したところ、Mut-20では全く検出されなかった。さらに、ルシフェラーゼアッセイ系を用いた解析から、両miRISCは完全一致する標的配列を持った遺伝子をダウンレギュレートすることも明らかにした。以上の成果に関しては論文を投稿中である。一方、窒素枯渇条件、暗所育成条件下で多くの機知のmiRNA発現量が増減することが分かったが、これらの条件下のみで出現するmiRNAは発見することが出来なかった。 それぞれのmiRNAに完全相補する配列を持った標的遺伝子は存在しなかったが、塩基配列の相同性からmiRXXX、miRYYYの標的となる得る可能性の高い遺伝子を5つずつ選び出した。それぞれのmRNA量を野生型株とMut20株で比較解析したところ、全ての標的遺伝子に関して顕著な蓄積量の差が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実施する研究は、翻訳抑制に関与する可能性の高い新規miRNAを発見することであった。実際に十分なリード数で検出されるmiRNAを2つ発見することが出来、かつそれらの標的遺伝子候補のmRNAレベルはMut20株で上昇していないことを確かめた。窒素枯渇条件、暗所育成条件で特異的に発現するmiRNAの発見にも努めたが、残念ながら発見することは出来なかった。現在、新規に発見したものも含め、標的遺伝子の翻訳抑制を行うと目されるmiRNAは12種類となった。研究はおおむね計画通りに実行されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画通り、miRNAによって翻訳抑制されている可能性の高い遺伝子の中から、機能予測がはっきりしているもの中心に5種を厳選し、ペプチド抗体を作製する。この抗体を用いて野生株とMut-20株で発現量を比較解析する。また、miRNAは標的遺伝子発現を完全ににON/OFFするのではなく、発現量を精密にファインチューニングするため、mRNAレベルとタンパク質レベルを解析して翻訳抑制効率も詳細に調べる。以上の実験により、翻訳抑制によって制御される遺伝子が決定され、miRNAによる翻訳抑制により制御される生命現象を解明する足がかりができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
劣化の早い蛍光色素入りの試薬(reai-time PCR用試薬)は実験を行うたびに新しいものを用意する必要がある。平成24年度に計画していたより、実際の当該試薬の使用量が少し抑えられたため、これを平成25年度に使用する。
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Research Products
(5 results)