2014 Fiscal Year Annual Research Report
精製タンパク質を用いた染色体の再構成:凝縮メカニズムの包括的理解を目指して
Project/Area Number |
24770172
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新冨 圭史 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 研究員 (60462694)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 染色体 / 再構成 / コンデンシン / トポⅡ / ヒストンシャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂期における染色体構築は、姉妹染色分体が娘細胞へと分配が正確に行われるために重要である。ところが、これまでに分裂期染色体構築に不可欠な役割を果たす因子は、II型DNAトポイソメラーゼ(トポII)とコンデンシンⅠしか知られておらず、染色体が構築されるのに何種類のタンパク質が必要なのかは不明なままであった。この疑問を解くにあたり、可能な限り少ない種類のタンパク質を使って試験管内に染色体を再構成するという大胆な計画を立てた。まず、カエルの精子クロマチンをコアヒストンとヒストンシャペロン(ヌクレオプラズミン、Nap1)でインキュベートし、基質となるクロマチンを作成した。また、活性のあるトポIIとコンデンシンⅠの精製標品の調製にも成功した。しかしながら、これらの標品を混ぜただけでは、染色体構築過程を再現できないことがはっきりした。一方で、カエル卵抽出液を生化学的に分画することによって、染色体構築に重要な未同定因子が存在するという結果も得られた。そこで、当初の計画を延長し、今年度は未同定因子の同定を試みた。具体的には、カエル卵抽出液を出発材料とした各々の分画を順次精製タンパク質で置き換え、染色体を再構成できるかを検定した。その結果、ヒストンシャペロンFACT(Spt16とSsrp1からなるヘテロ二量体)が必要であることが判明した。さらに、コアヒストン、ヌクレオプラズミン、Nap1、FACT、トポII、コンデンシンⅠの混合液で精子クロマチンをインキュベートすれば、染色体を再構成できることを証明した。これらの6種類の因子はひとつも欠くことができないことから、染色体構築に必要かつ十分な因子であり、それぞれが異なる役割を果たしていると考えられる。
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