2013 Fiscal Year Annual Research Report
血球系細胞分化における核小体の役割とその分子機構の解明
Project/Area Number |
24770178
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
黒田 貴雄 同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (30620637)
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Keywords | )核小体 / 血球系細胞分化 |
Research Abstract |
核小体は核内構造体の一つであり、リボソームRNA(rRNA)の転写とリボソーム構築が行われる場として知られている。増殖中の細胞においてrRNAは活発に転写されている。それ故、rRNAの転写制御は細胞増殖を左右する重要な機構であり、細胞分化にも密接に関係している。一般的に未分化な多能性幹細胞や前駆細胞は増殖能が高く、rRNAの転写も活発である。逆に終末分化した細胞は増殖能が低く、rRNAの転写も低く抑えられている。このように、分化におけるrRNA転写の変化についてはよく調べられている。しかし、rRNA転写の変化が分化に与える影響を報告している論文はほとんど無い。 我々はこれまでに、核小体タンパク質の一つであるMYBBP1AがrRNAの転写依存的に核小体に局在していることを明らかにした。MYBBP1Aはc-Mybの転写活性を負に制御する因子であり、c-Mybは造血系の細胞分化に働く重要な転写因子である。以上のことから、我々は、造血系細胞分化において、分化に伴うrRNA転写の低下がMYBBP1Aの局在変化を促し、c-Mybの転写活性を制御することで、結果的に正常な細胞分化が誘導されると仮説を立てた。これを検証するため、マウス造血幹細胞およびヒト白血病細胞株K562細胞を用いて、巨核球分化誘導をかけた際のrRNA転写、MYBBP1Aの局在、c-Mybの転写活性を解析した。その結果、分化に伴いrRNA転写は低下し、MYBBP1Aは核小体から核質に局在が変化し、c-Mybの転写活性は抑制されることが明らかとなった。MYBBP1Aの分化に与える影響を調べるため、分化誘導時にMYBBP1Aのノックダウンを行った結果、c-Mybの転写抑制は部分的に解除され、巨核球への分化が抑制された。以上の結果から、血球系細胞において、細胞分化に伴うrRNA転写抑制は、分化促進に働くことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Nucleolar protein, Myb-binding protein 1A, specifically binds to nonacetylated p53 and efficiently promotes transcriptional activation2013
Author(s)
Ono W*, Akaogi K*, Waku T, Kuroda T, Yokoyama W, Hayashi Y, Kimura K, Kishimoto H, Yanagisawa J. (*: equal contribution)
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 434(3)
Pages: 659-663
Peer Reviewed