2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヴァーチャルな核膜崩壊をもたらす核膜機能調節メカニズムの研究
Project/Area Number |
24770187
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
淺川 東彦 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (70399533)
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Keywords | 核膜 / 核膜孔 / 核膜孔複合体 / 分裂酵母 / 減数分裂 |
Research Abstract |
高等真核生物では分裂期に起こる核膜崩壊によって核膜と核膜孔複合体(NPC)が分散し、核と細胞質が均一化する。分裂酵母では核膜やNPCの構造を維持しながらも核膜透過性が増大し、機能的に核膜崩壊と同じ効果をもたらす現象が起きる(ヴァーチャルな核膜崩壊:V-NEBD)。V-NEBDを促進する機構として核膜孔を構成するNPCの機能が関与する可能性を検討した。NPCを形成する蛋白質(ヌクレオポリン)のうち、nup132遺伝子を欠損した細胞ではV-NEBDが通常とは異なるタイミングで起こることがわかった。分裂酵母にはNup131という別のNup132パラログが存在するが、nup131遺伝子を欠損した細胞ではV-NEBDの異常は見られなかった。Nup132蛋白質は進化的に保存されたヌクレオポリンの一種であるがV-NEBDとの関係だけでなく分裂酵母における機能も明らかではないことから、Nup132についての解析を進めた。その結果、nup132遺伝子破壊株では微小管重合阻害剤TBZやdNTP合成阻害剤HUの存在下で増殖抑制が見られること、nup132遺伝子破壊株の減数分裂では第一分裂の完了に遅延がみられることがわかった。これらの結果は、Nup132がゲノムの安定保持にも重要な機能をもつことを示唆している。また、Nup132遺伝子破壊株の表現型は、Nup132のパラログとされているNup131の発現では相補されず、nup131遺伝子の破壊株はTBZやHUの存在下でも野生型株と同様に増殖できたことから、パラログとされるNup132とNup131には機能に違いがあることが示唆された。同様の実験でNup132以外のヌクレオポリン欠損変異体でもゲノムの安定保持に異常が見られることを見いだしていることから、NPCが核-細胞質間輸送だけではなく細胞核の機能や構造を維持するのに必須である可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)