2012 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア動態制御におけるAAA ATPase Cdc48pの機能
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24770189
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江崎 雅俊 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (70437911)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / Cdc48 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは,分裂と融合を繰り返しながらダイナミックにその形態を変化させる。形態変化の生理的な意義はよく分かっていないが,これに関わる因子の一部は神経変性疾患の原因因子としても同定されていることから,ミトコンドリアの形態維持機構は早期に解明すべき課題である。 私たちは,サイトゾルの必須AAAシャペロンであるCdc48pが,ミトコンドリアの正常な形態形成に必須であることを見いだしている。Cdc48pは,様々なアダプタータンパク質によって,その機能が制御されていると考えられている。ミトコンドリアに関連するアダプタータンパク質として,Vms1pがこれまでに同定されていた。しかし,出芽酵母Vms1p欠損株では,ミトコンドリア形態は正常であったことから,他のアダプター因子の関与が示唆された。そこで,Cdc48pのアダプタータンパク質を検索したところ,Shp1pおよびUbx2pの欠損株において,ミトコンドリア形態異常が観察された。 これまで用いていた実験系では,更なる解析が困難であることが判明したため,新しい実験系の構築を行った。具体的には,染色体上のCDC48遺伝子をC末端にAIDデグロンタグ(auxinの添加によってタンパク質分解を誘導するタグ)を付加したCdc48-AIDを発現する遺伝子に置き換えた。auxinの添加によってCdc48-AIDは,野生型Cdc48pの1/20程度まで減少した。このとき,ミトコンドリアも異常形態を示した。平成25年度において,さらに解析をすすめ,Cdc48pによるミトコンドリア形態制御機構を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで用いていた実験株では,更なる解析が困難であることが判明したため,より良い新しい実験系を構築する必要がでてきた。そのため,当初予定よりもやや時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,Cdc48pの機能欠損がミトコンドリア形態異常を引き起こすこと,および,ミトコンドリア融合反応に関わるFzo1pの分解が抑制されることを見出している。したがって,Fzo1pの分解をCdc48pが促進することによって,正常なミトコンドリア形態が維持されている可能性が示唆される。Cdc48p の機能は様々なアダプタータンパク質によって調節されていると考えられており,アダプタータンパク質はCdc48p と基質タンパク質とを繋ぐ役割も果たす。これまでに,Shp1pおよびUbx2pがCdc48pのミトコンドリア形態制御に関するアダプターとして機能している可能性が考えられた。そこで,これらの因子に注目して,Cdc48pによるFzo1pの分解のメカニズムを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生化学や細胞培養,遺伝子工学などの実験に必要な消耗品が,研究の推進に必須である。また,学会発表のための旅費,論文投稿のための費用等が必要である。
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Research Products
(4 results)