2013 Fiscal Year Annual Research Report
発生過程で細胞運命を規定する転写因子の生涯にわたる発現制御機構
Project/Area Number |
24770202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚原 達也 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90586413)
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Keywords | エピジェネティクス / developmental gene / メダカ / DNAメチル化 |
Research Abstract |
脊椎動物のゲノムはその大半がDNAメチル化を受けており、DNA低メチル化ドメイン(Hypomethylated Domain, HMD)は主に遺伝子のプロモーターに存在する。HMDはヒストン修飾や転写因子の結合を介した遺伝子発現制御の場と考えられる。そのため、脊椎動物の生涯を通じてHMDおよびその内部のヒストン修飾がどのようなパターンをとるかを理解することは、遺伝子発現を介した細胞の運命制御機構を解明する上で重要である。本課題は、メダカ多能性細胞(胞胚期)におけるHMDの解析およびヒトES細胞との比較に加え、初期胚および成体におけるエピゲノム状態の変化について解析を行い、HMD制御機構の理解を目指した。 我々はまず、メダカ胞胚期において活性型ヒストン修飾のみが存在するK4HMDと活性型と抑制型の修飾が共存するK27HMDが存在し、K27HMDはサイズとH3K27me3(抑制型)のレベルが正の相関を示すこと、HMDはサイズおよび内部の修飾により特徴的な遺伝子を含むことを明らかにした。これらの結果はヒトES細胞においても保存されており、未分化性と分化能の維持という多能性細胞の重要な特徴を規定していると考えられる。 次に、桑実胚期(~128細胞期)におけるH3K4me2(活性型)およびH3K27me3のゲノムワイド解析を行い、HMDはH3K4me2のレベルに応じて3種類に分類されることを明らかとした。したがって、初期胚における多能性型エピゲノム確立過程はHMDによってH3K4me2の蓄積動態が大きく異なることが示唆された。さらに、成体の筋肉および肝臓の解析から、K27HMDの中で遺伝子発現の活性化しているものについては、HMDの縮小が生じていることを明らかにした。この縮小はH3K27me3の減少および転写の活性化の後で生じるため、遺伝子発現の維持に寄与している可能性がある。
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Research Products
(2 results)