2013 Fiscal Year Research-status Report
選択的姉妹染色体分配を介した左右非対称性決定機構の解析
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24770204
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 俊詩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60608529)
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Keywords | 線虫 / 神経系左右非対称性 / 遺伝学 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
これまでの研究成果から、線虫C. elegans において、DNA複製依存的なヌクレオソーム形成を促進するCAF-1複合体が神経系左右非対称性決定に必須であることが示された。しかしながら、CAF-1複合体がどのような遺伝子に作用して神経系左右差を形成するのかは明らかとなっていなかった。そこで、CAF-1複合体の標的遺伝子を同定するために、CAF-1複合体のDamアッセイを計画した。このために、CAF-1複合体のサブユニットであるchaf-1遺伝子にDam遺伝子を結合した融合遺伝子を作成した。DamアッセイではDam融合遺伝子の発現量を低量に抑える事が重要であると報告されており、これを実現するために、chaf-1-Dam融合遺伝子を線虫の染色体にシングルコピーで挿入した系統の樹立に成功した。今後、この系統を用いて、chaf-1-Dam遺伝子が機能的であるかどうかを検討し、その機能性を確認した後、Damアッセイを行う予定である。これによってCAF-1標的遺伝子が明らかになるものと期待される。 また、神経系左右非対称性に関与する新規の遺伝子の同定に着手した。神経系左右非対称性を喪失する新たな変異株を解析し、この変異体の原因遺伝子を明らかにすることを目的とした。この変異の遺伝学的なマッピングを進めたところ、この変異は既知の神経系左右差決定因子が存在しないゲノム領域にマッピングされた。このことから、この変異体の原因遺伝子は新規の神経系左右差決定因子である事が示された。今後、この遺伝子の解析を進めることで、神経系左右非対称性決定機構の更なる解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の解析からpolyA-binding proteinを用いたCAF-1標的遺伝子の同定が困難である事が明らかとなり、今年度はchaf-1-DamによるDamアッセイを用いた解析をすることでCAF-1標的遺伝子の同定を計画し、その準備に着手した。今後はこのDamアッセイを推進したい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、今後はCAF-1のDamアッセイを行う事でCAF-1標的遺伝子の同定を試みる。また、神経系左右左右非対称性異常を示す新規変異体の解析から、この変異の原因遺伝子は未知の神経系左右非対称性決定因子である事が明らかとなり、この遺伝子の解析に注力して行く事で、神経系左右非対称性決定機構の更なる解明を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CAF-1標的遺伝子群の同定実験が計画よりやや遅れており、この実験で用いる消耗品等を当該年度内で購入できなかったことなどが、理由としてあげられる。 該当する実験を次年度に行うことなどで、当該年度で使用できなかった額を執行して行く予定である。
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Research Products
(2 results)