2013 Fiscal Year Research-status Report
新規shRNAライブラリーによる多能性幹細胞のゆらぎの分子機構同定
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24770206
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀田 秋津 京都大学, iPS細胞研究所, 助教 (50578002)
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Keywords | shRNAライブラリー / トランスポゾンベクター / 発現抑制 |
Research Abstract |
本研究では、新規のトランスポゾンベクターを利用した全ゲノム規模shRNAライブラリーを構築し、多能性幹細胞におけるNanog発現ゆらぎの分子 機構を明らかにすることである。既存のshRNAライブラリーはほぼすべてウイルスをベースとしたものであり、多能性幹細胞への導入効率が低かった。そこで我々は、piggyBacトランスポゾンベクターを用いたshRNAライブラリーを構築し、その抑制機能評価を行った。 ライブラリー中に含まれるshRNAの多様性を確認するために、高速シーケンサーMiSeqを用いて多数のshRNAの配列解析を行った。その結果、一つのshRNAライブラリー中に少なくとも2万種類以上のshRNAが含まれる事を確認した。次に、マウスiPS細胞へのpiggyBacベクター導入条件検討を行い、60%以上の高い効率で導入可能であることを確認した。これは、私の知る限り、初めてのDNAトランスポゾンベースのゲノム規模shRNAライブラリーである。 このshRNAライブラリーを、Nanog-GFPを発現するマウスiPS細胞へ導入した所、残念ながら発現パターンに品著な変化は見られなかった。一方、導入したトランスポゾンベクターが発現抑制を受けているマウスES細胞にshRNAライブラリーを導入した所、一部の細胞において発現抑制の解除が観察され、GFP陽性細胞群をソートして含まれているshRNA配列をサンガーシーケンスおよびMiSeqにて確認した。現在は、ES細胞における遺伝子抑制機構に関与するであろう、候補shRNA群について詳細な解析を進めている所である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、shRNAライブラリーの構築についてはほぼ順調に推移した。ライブラリーの調整を4回行い、各ライブラリー 産物を高速シーケンサーMiSeqにて確認し、各プレップに数万種類のshRNAが含まれていることを確認した。一方、Nanogの発現ゆらぎについては、shRNAを導入しても品著な変化が見られず、再現性のある結果を得る為にはさらなる解析が必要である。しかし、マウスES細胞での発現抑制を解除し得るshRNA群を多数同定しており、現在はそちらの解析に力を入れている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の構築したshRNAライブラリーは簡便に全ゲノム規模のスクリーニングへ応用できることから、広く遺伝子機能をスクリーニングする実験系への応用が期待できる。今回はSBI社より購入したshRNAをベースにライブラリの構築を行ったが、元のshRNAの品質があまり良くなく、この点については改善が必要である。しかしながら、発現抑制を解除するshRNA群については転写関連因子が多数含まれており、今後はそれら候補shRNAについての個別解析に加え、ネットワーク的な解析にも挑戦して行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
shRNAライブラリー導入実験において、当初予定していたNanog-GFP細胞にて謙虚な発現変動が観察できなかったため、ターゲット細胞を変更して実験を行う必要が生じた。このため、全体として研究計画に遅れが出て、一部研究費の繰り越しが必要となった。 繰り越した研究費は、引き続き個別shRNA導入による確認実験や、細胞の機能解析実験に使用する。
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