2012 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン修飾制御を介した生殖細胞特性の形成・維持メカニズム
Project/Area Number |
24770211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高崎 輝恒 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30615539)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 生殖細胞 / クロモドメイン / 線虫C.elegans |
Research Abstract |
生殖細胞は、次世代を生み出すことができる特殊な細胞である。生殖細胞の特性理解や、形成・維持メカニズムの解明は、生物学、生殖・再生医学の域を超えた生命科学の最重要課題の一つであるが、依然として不明な点が多く残されている。本研究では、線虫C.elegansの発生分化過程をモデルに、エピジェネティクス制御機構、とりわけヒストン修飾を中心としたクロマチン修飾制御機構に着目し、生殖細胞と体細胞の違いを生み出すメカニズムの解明を目指している。 平成24年度は、申請者が以前に生殖細胞の形成・維持に必須な母性因子として同定したクロモドメイン蛋白質MRG-1に焦点をあて詳細な解析を行なった。その結果、MRG-1は生体内において、ヒストンH3の36番目のリジン残基(H3K36)がメチル化修飾された染色体に優先的に結合することを、遺伝学的な手法を駆使した解析により見出した。線虫初期胚の生殖細胞遺伝子座(生殖細胞の発達過程で活性化する遺伝子座)では、ヒストンメチル化酵素MES-4によってH3K36メチル化が高レベルに維持されている。ゲノムワイドなクロマチン免疫沈降解析(ChIP-chip解析)の結果、MRG-1の結合表的遺伝子座と、このH3K36メチル化の分布が、非常に良く一致することを突き止めた。さらに、MRG-1の標的遺伝子座への結合性が、MES-4によるH3K36メチル化に依存することも見出した。以上の研究成果から、MRG-1は、MES-4によるH3K36のメチル化修飾状態を認識して生殖細胞遺伝子座を選択的に見つけ出すエピゲノム解読因子として機能していることが示唆され、ヒストン修飾制御ネットワークの仲介役を担うという、これまで全く明らかにされていなかったMRG-1の作用機序の一端を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の進捗状況は、申請時の計画に極めて近く、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況は極めて良好であり、今後も計画通り進展できるように努める。 また、より解像度の高い結果が得られるように、現行のクロマチン解析手法をChIP-chip法から、ChIP-seq法に切り替えることも検討して行きたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、共同利用でまかなっている必須の基本設備『蛍光実体顕微鏡』が、所有者の異動に伴い利用できなくなる為、新規購入できるように当初の物品購入計画を変更した。新たな購入計画への変更によって、本研究が滞りなく遂行できるようになったと考えている。
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Research Products
(3 results)