2013 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン修飾制御を介した生殖細胞特性の形成・維持メカニズム
Project/Area Number |
24770211
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高崎 輝恒 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30615539)
|
Keywords | 生殖細胞 / ヒストン修飾 / 線虫C. elegans |
Research Abstract |
本研究課題は、線虫C. elegansの発生分化過程をモデルに、エピジェネティック制御機構、とりわけヒストン修飾を中心としたクロマチン修飾制御機構に着目し、生殖細胞と体細胞の違いを生み出すメカニズムの解明を目指すものである。生殖細胞は次世代を生み出すことができる特殊な細胞であり、生殖細胞の特性理解や形成・維持メカニズムの解明は、生物学、生殖・再生医学の域をこえた生命科学の最重要課題の一つであるが、依然として不明な点が多く残されている。 平成25年度は、前年度に見出した、クロモドメイン蛋白質MRG-1が生殖細胞遺伝子座に特徴的なヒストンメチル化修飾を認識して結合するという現象についての生理学的意義の解明を目指し、詳細な解析を進めた。その結果、MRG-1はMYST型のヒストンアセチル化酵素であるMYS-2と相互作用することを見出した。この結果は、MRG-1が仲介役となることによってヒストンアセチル化活性を生殖細胞遺伝子座に呼び込んできている可能性を強く示唆するものであった。実際に、高解像度のクロマチン免疫沈降解析を行ない検証した結果、生殖細胞遺伝子座には体細胞遺伝子をコードする領域には見られないヒストンアセチル化修飾パターンが生み出されていることが明らかとなった。線虫の胚発生期の体細胞においては、ヒストン脱アセチル化複合体が生殖細胞化の抑制に寄与していることが知られており、本研究課題で得られた知見は、元来、線虫初期胚の全細胞が備えてる「生殖細胞への分化能」を規定するヒストンアセチル化修飾の実体解明、および、そのヒストンアセチル化修飾を生成する分子基盤の解明に大きく貢献するものとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒストンメチル化修飾に関して新たな知見を見出した海外の研究グループと研究打ち合わせを行い、より発展した研究内容での発表を目指す為、当初予定していた論文発表の時期から遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られたChIPデータを、計画申請時の作業仮説にとらわれない柔軟な発想でバイオインフォマティクス解析し、包括的なモデルの提唱を行なう
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会で研究成果を発表した際、カリフォルニア大学サンタクルズ校のJeremy Kreher氏と情報交換を行ない共同研究に至った。共同実験による効率化によって、一部の消耗品費が削減できた。また、より発展した内容を目指し、論文発表の時期を延期する決定をしたため、平成25年度に計上していた論文校正料、および投稿費用が発生しなかった。 研究成果の取りまとめに必要な追加実験の為の消耗品費(酵素・試薬類)、および、研究打ち合わせ・成果発表旅費、論文投稿費用に充てる。
|
Research Products
(7 results)