2012 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ胚発生における尾部未分節中胚葉の形成機構に関する研究
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24770218
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
矢部 泰二郎 基礎生物学研究所, 分子発生学研究部門, 助教 (30470074)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | zebrafish |
Research Abstract |
筆者らはゼブラフィッシュ初期発生において、spadetail(spt)とmesogenin1(msgn)とよばれる2つの転写因子が尾部未分節中胚葉(PSM)が尾芽表層に存在する未分化中胚葉(MPCs)から分化するさいに重要な役割を果たす事を見いだしてきた。このことより、msgn1の発現開始機構を明らかにする事が、尾部PSM分化の開始機構の理解に重要であると考え、COS7細胞を用いてmsgn1のプロモーターアッセイを行った。これまでの研究においてトランスジェニック魚において内在性のmsgn1の発現を再現するのに十分な上流3000bpを用いてレポータアッセイを行った結果、msgn1の発現はwntシグナルおよび転写因子notail(ntl)により強く活性化される事が明らかになった。これらの因子は主にMPCsで強く発現していることから、通常のMPCsではmsgn1の発現を抑制する機構が存在し、PSM分化時にその抑制が解除される事によりmsgn1の発現が開始し結果PSM分化が誘導される可能性が考えられた。この可能性を検討するため、プラスチック切片を作製し尾芽領域で発現する転写抑制因子の詳細な発現を調べたところ、転写抑制因子として知られる、voxが尾部においてmsgn1とは入れ子状に発現する事が明らかになった。さらに培養細胞を用いたレポーターアッセイを行った結果、wnt、ntlによるmsgn1プロモーターの活性化はvox1の導入量依存的に抑制される事が明らかになった。現在実際のゼブラ胚においてvoxによるmsgn1の発現抑制がPSMの分化を制御しうるかどうかを検証するため、ヒートショックプロモーター制御下でvoxを発現するトランスジェニックラインの作成を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
msgn1の発現制御機構に関しては概ね計画通りに進んでいるが、下流因子の探索に関しては計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はhsp-voxトランスジェニックラインを作製し、実際の胚発生時の尾部PSMの分化におけるvoxの機能を明らかにすることを試みる。また、msgn1/sptの下流因子を探索するためRNA-SEQを用いて、正常胚尾部とmsgn1/spt二重機能阻害胚尾部における遺伝子の発現を網羅的に比較する。これにより同定されるmsgn1/spt下流遺伝子をTALEN法を用いて破壊する事により、それ等の機能の詳細を明らかにする事を試みる。 これらの下流因子の探索に関しては本来はマイクロアレイを用いて今年度行う予定であったが、より多くの遺伝子に関し網羅的に解析が可能であるRNA-seqに切り替える事にしたため、サンプリング条件の検討に想定以上の時間がかかり実験自体が次年度への繰り越しとなってしまい、次年度使用額が生じる結果となった次第である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度実行できなかったRNA-seqに関して『次年度使用額』を用いて来年度行う予定である。 それ以外のトランスジェニックの作成やTALENによるノックアウトフィッシュの作成、魚の飼育等に関しては次年度以降に請求する予算を用いて行う。
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Research Products
(3 results)