2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンエピジェネティクスに注目したiPS細胞の多能性を評価する分子指標の同定
Project/Area Number |
24770224
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
杉浦 真由美 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (60397841)
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Keywords | iPS / ヒストンエピジェネティクス / 分化能 |
Research Abstract |
iPS細胞の臨床応用のために必須である「iPS細胞の質の評価」を分子レベルで可能にするため、本研究ではiPS 細胞株間の質、特に分化多能性の程度と関連し得る分子的特徴を解析した。 「分化能に差があるiPS細胞株間におけるヒストン修飾の比較」及び「薬剤(TSA)処理の多能性への影響と多能性回復過程におけるヒストン修飾の解析」を行った結果、高い分化能を有するiPS 細胞の分子的特徴としてヒストンのアセチル化等の活性型修飾が亢進傾向にあることがわかった。また、完全な多能性を示さないiPS 細胞株をTSAで処理すると分化能の回復がみられ、TSA処理直後に一時的にヒストンの活性型修飾が増加することがわかった。以上の結果より、活性型ヒストン修飾がiPS細胞の多能性の程度と関連し得ることが示された。 当初、分化能に差がある細胞株間における標的ヒストン修飾のゲノムワイド解析を計画していたが、ここまでに得られた結果をもとに計画を変更し、高い分化能を示す細胞にみられる活性型ヒストン修飾の亢進が何に起因しているのかに注目して研究を進めた。各細胞株間におけるc-Mycやヒストン修飾関連因子の発現を調べ標的の活性型ヒストン修飾との関連を検討した結果、このヒストン修飾とc-Myc及び特定HDACの発現レベルとの間に顕著な相関関係があることがわかった。また、この相関はiPS細胞でのみみられES細胞ではみられなかった。さらに、特定HDACの強制発現やノックダウン実験により、このHDACが細胞の分化状態に影響を与える可能性が示された。また、複数のiPS細胞のゲノムを詳細に解析して高分化能を示す株においても多数の点突然変異が存在することを明らかにし、分化能の違いはゲノム安定性の差によるものではないことを確認した。 本研究の成果は、将来的にiPS細胞の評価やiPS化のメカニズムの解析に大きく貢献するものと期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] iPS cells generation-associated point mutations2013
Author(s)
Ryoko Araki, Mayumi Sugiura, Yasuji Kasama, Misato Sunayama, Masahiro Uda, Miki Nakamura, Shunsuke Ando, Yuko Hoki, Masumi Abe
Organizer
International Society for Stem Cell Research-ISSCR 11th Annual Meeting
Place of Presentation
Boston MA, USA
Year and Date
20130612-20130615
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[Presentation] Point mutations in ES cells2013
Author(s)
Yuko Hoki, Mayumi Sugiura, Yasuji Kasama, Misato Sunayama, Masahiro Uda, Miki Nakamura, Shunsuke Ando, Ryoko Araki, Masumi Abe
Organizer
International Society for Stem Cell Research-ISSCR 11th Annual Meeting
Place of Presentation
Boston MA, USA
Year and Date
20130612-15