2012 Fiscal Year Research-status Report
呼吸速度または一回換気量の制御が運動開始時の酸素摂取動態に及ぼす影響の解明
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24770236
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
齊藤 直 山形大学, 理工学研究科, 助教 (20454770)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 呼吸性アルカローシス / 酸素摂取動態 / 呼吸速度 / 一回換気量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1.呼吸性アルカローシス誘発の要因である呼吸速度及び一回換気量の増大が、アルカローシス誘発に対して単独および相互的にどのように関わり合っているかを明らかにすること、及び2.アルカローシス誘発の原因が主に呼吸速度であるか一回換気量であるかで、運動開始時における酸素摂取動態の応答速度にどのような差異が生じるかを明らかにすることである。 上記1を果たすため、平成24年度はまず初めに動物実験手技の確立を行なった。具体的には、ペントバルビタール麻酔下のラットに対して本助成金で入手したレスピレータを用いて人工呼吸を施して尾静脈より血液を採取、血中二酸化炭素分圧をはじめとする血液ガス成分を本助成金で入手した血液ガス分析装置により測定した。現在は、麻酔深度の安定化、実験手技の成熟、安定化を図り、血液ガス成分測定値の安定化を図っている。このことは、今後取得していくデータの信頼性のために重要である。 また、上記2を果たすため、平成24年度は呼吸速度を20、30、または60回/分に制御して運動負荷試験を行ない、その際の呼吸・循環パラメータを測定して解析した。運動負荷強度は嫌気的代謝閾値における運動負荷を中強度として、低強度、中強度、または高強度の3種類を用いた。その結果を受けて、呼吸性アルカローシスの状態で強い運動を行なうと、始めはピルビン酸脱水素酵素活性の減少が生じ、その後、強い運動による血液の酸性化に伴い酸素解離曲線の右方シフトが生じる可能性が示された。この結果は、運動生理学的知見として学術的に貢献できるものである。本研究成果は、第27回生体・生理工学シンポジウムにて発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットを用いた動物実験の手技確立に関して、特に麻酔深度の安定化が難しく、技術向上、手技確立に時間を要した。従って、平成24年度で計画していた呼吸速度及び一回換気量を制御した上での血液ガス成分分析は、引き続き平成25年度に行なう予定でいる。ヒトを用いた運動負荷試験は現在のところ問題なく順調に進行しており、平成25年度に予定していた研究に既に入っている。 以上、ほぼ順調に進展しているが、動物実験が平成24年度内に終了しなかった点を考慮して、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ラットを用いた動物実験を加速していく予定である。まずは現在の実験手技の基、呼吸速度及び一回換気量を制御した上での血液ガス成分分析を行ない、データの確認、解析を行なう。麻酔深度に関して、ばらつきが収まらない様であれば、イソフルランまたは笑気ガスによる吸入麻酔の適用を試す。 平成24年度と同様、ラットを用いた動物実験と平行してヒトを用いた運動負荷試験を行なっていく。今後は、一回換気量を一定に保つ条件下、及び呼気終末二酸化炭素分圧を一定に保つ条件下における運動負荷試験を行なう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において動物実験の手技確立に時間を要したため、実験動物経費、動物実験関連の消耗品代の一部が次年度に回ることになった。また、旅費は平成25年度に海外で研究発表を行なうため、基金助成金の性質を生かし、平成24年度分の一部を平成25年度分に回した。人件費・謝金に関しては、平成24年度における運動負荷試験に対してボランティアの助けを得ることが出来たため、一部をその他に回し、残りを平成25年度における動物実験に関する消耗品費、及び運動負荷試験に関する人件費・謝金に回した。 次年度は計画通り運動負荷試験用の薬品、心電図測定用電極、呼吸マスク、ガルバニ電池、固定用テープを購入する他、引き続き動物実験を行なうため、動物実験用の実験用動物、注射針・シリンジなどの動物実験関連消耗品も購入する。また、計画通り国際学会大会参加のため、平成24年度から回した分も含めて旅費を使用する。さらに、運動負荷試験に対するアシスタント雇用、被験者謝金に対して人件費・謝金を使用する。英文校閲料、学術論文投稿・印刷費としてその他の経費を使用する計画でいる。
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Research Products
(2 results)