2013 Fiscal Year Research-status Report
イネの栄養生長期における発生を時間的に制御する遺伝子カスケードの解明
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24780004
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
永澤 奈美子 (佐藤 奈美子) 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (00535289)
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Keywords | 突然変異体 / イネ / 発生 / 時間的制御 |
Research Abstract |
栄養生長初期の発生の進行が遅滞したと考えられるイネ突然変異体、11A-s-266についての解析を行っている。 ポジショナルクローニングにより、原因遺伝子は、calcium/lipid-binding domainを含む、これまでに機能が明らかになっていないタンパク質をコードしていると示唆された。 表現型の生理学的解析として計画していた、miR156及びmiR172の発現量を調査したところ、miR172の発現の発現制御は野生型より遅れていた。平成24年度に、形態学的に11A-s-266突然変異体においては栄養生長初期の発生進行が遅滞していることが示されたが、本年度の調査において、それがさらに確かめられたことになる。 11A-s-266突然変異体をさらに詳細に観察したところ、個体によるばらつきはあるものの、完成胚の胚盤細胞が野生型より小さい核を持つこと、発芽後の植物体地上部の細胞に複数の核を持つ細胞が存在することが明らかになった。また、11A-s-266突然変異体は発生の途中で茎頂分裂組織の活性が維持されなくなり、枯死する。これらの表現型を合わせ持つ突然変異体の報告は今までになく、11A-s-266突然変異体の原因遺伝子が持つ、イネの栄養生長初期における発生の時間的制御以外の機能についてさらなる解析が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原因遺伝子が明らかになり、突然変異体の形態学的、生理学的解析も進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
11A-s-266突然変異体の原因遺伝子の発現調査や、形質転換による相補性検定を行う。また、11A-s-266突然変異体のアリルのスクリーニングも続ける。 イネの発生を時間的に制御していると考えられている、plastochron1突然変異体との二重突然変異体の解析のための材料が得られる予定であるので、その解析も行う。 また、11A-s-266突然変異体の原因遺伝子は、発生の時間的制御以外の機能も持つと考えられる。さらに詳細な観察等により、まず、それらを特定し、それらと発生の時間的制御の関係が明らかにできれば、これまでに明らかにされたことのない、発生の時間的制御と細胞の発生制御の関連性についての知見が得られると考える。
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[Journal Article] Functional relationship heavy metal P-type ATPases (OsHMA 2 and OsHMA3) of rice (Oryza sativa) using RNAi2013
Author(s)
Satoh-Nagasawa, N., Mori, M., Sakurai, K., Takahashi, H., Watanabe, A. and Akagi, H.
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Journal Title
Plant Biotechnology
Volume: 30
Pages: 511,515
Peer Reviewed
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[Presentation] 土耕栽培下でのソルガム在来種地上部におけるカドミウム蓄積様式の変異
Author(s)
Namiko Satoh-Nagasawa, Kana Tsuboi, Tariq Shehzad, Kazutoshi Okuno, Junichi Yoneda, Shinsei Lin, Nobuhiro Tsutsumi, Shimpei Uraguchi, Toru Fujiwara,Yusuke Ito, Tsuyoshi Tokunaga, Masashi Itou, Hiroyuki Hattori, Nobuhiro Nagasawa, Rumiko Itoh, Keiko Asari, Hidekazu Takahashi, Kenji Sakurai, Akio Watanabe, Hiromori Akagi
Organizer
日本育種学会
Place of Presentation
東北大学
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