2012 Fiscal Year Research-status Report
ブラシノステロイドによるイネのストレス耐性獲得機構の解明
Project/Area Number |
24780005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
坂本 知昭 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (00345183)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イネ / ブラシノステロイド / 突然変異体 |
Research Abstract |
ブラシノステロイド生合成酵素CYP90D2とCYP90D3について昆虫培養細胞系を用いて組換えタンパク質を発現・精製し、同タンパク質を用いてブラシノステロイド代謝活性を生化学的に解析した。その結果、CYP90D2とCYP90D3はともにC-23水酸化酵素として機能していることを明らかにした。さらにCYP90D2の機能欠失突然変異体イネにおいてC-23水酸化中間代謝物が減少していることも示した。これらの結果から、CYP90D2とCYP90D3はイネのブラシノステロイドC-23水酸化に冗長的に機能していると考えられた。 イネのブラシノステロイド関連突然変異体では、非感受性突然変異体d61と欠損突然変異体d2のどちらも野生品種“台中65号”を遺伝的背景とした突然変異体より“日本晴”を遺伝的背景とした突然変異体の方がより強い表現型を示すことを見出した。関連遺伝子の網羅的な解析の結果、“日本晴”のブラシノステロイド受容体遺伝子OsBRI1のプロモーター領域にMITE型トランスポゾンmPingの挿入が見つかり、その結果としてOsBRI1の転写調節が“日本晴”で正常に働いていないことを明らかにした。 OsARF24はオーキシン情報伝達における抑制因子として機能していると考えられている。OsARF24遺伝子にレトロトランスポゾンTos17が挿入した突然変異体osarf24-1を単離し詳細に解析したところ、osarf24-1はオーキシンの感受性が低下していることを明らかにした。osarf24-1においてOsARF24タンパク質はC末端ドメインが一部欠損している。転写抑制因子型ARFタンパク質のC末端ドメインの機能はこれまで明らかにされていなかったが、本研究の結果から、転写抑制因子型ARFタンパク質のC末端ドメインは転写抑制機能の安定化に寄与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画は概ね達成した。また実施計画に記載した内容以外にも、本研究の推進に結びつく研究成果を挙げ(詳細は研究実績の概要に記載)、5報の原著論文(いずれも筆頭かつ責任著者)を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心的な研究対象である新規ブラシノステロイド情報伝達因子ELF1について、ブラシノステロイド情報伝達系における位置づけを明確にするため、当初予定していた定量的PCR法による遺伝子発現解析に加え、より網羅的な結果が得られるmicroarray法も用いることにした。当研究機関にはmicroarray解析システムがないため、受託解析サービスを利用したが、microarrayの生産ラインのトラブルが原因で納期の遅れが生じ、年度内に結果が得られなかった。既に生産ラインのトラブルは解消され、近く解析結果も得られる予定である。この実験は当初の研究計画より踏み込んだものであり、解析の遅れは当初の計画そのものには影響しない。したがって今後は、得られた結果を活用し、発展させながら、当初計画に従って研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、納期が遅れ年度内執行できなくなったmicroarray受託解析に要する費用のほぼ全額に相当する。したがって解析結果が得られた後に、それに充当する。
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Research Products
(6 results)