2013 Fiscal Year Research-status Report
ブラシノステロイドによるイネのストレス耐性獲得機構の解明
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24780005
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
坂本 知昭 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (00345183)
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Keywords | ブラシノステロイド / オーキシン / 発現制御 / 突然変異体 / ユビキチン化 / U-box型E3リガーゼ |
Research Abstract |
オーキシンとブラシノステロイドは共力的に機能することが知られているが、この現象はブラシノステロイドの機能を利用したストレス耐性の付与に活用できる。オーキシンがイネのブラシノステロイド受容体遺伝子OsBRI1の発現を誘導し、受容体タンパク質OsBRI1を増加させることにより、ブラシノステロイド応答を高めていることは昨年度末に明らかにした。さらにこの発現誘導にはオーキシン情報伝達因子ARFが関与し、OsBRI1遺伝子のプロモーター領域に存在するオーキシン応答配列依存的に起こっていることを明らかにした。これらの結果からオーキシンはARFを介したOsBRI1遺伝子の発現制御によりブラシノステロイド感受性を調節していると考えられたが、このような制御メカニズムがイネ(単子葉植物)独特のものではないことを確認するため、双子葉植物のモデル植物であるシロイヌナズナを用いて同様の実験を行った。その結果、オーキシン処理がシロイヌナズナのブラシノステロイド受容体遺伝子BRI1の発現を誘導し、ブラシノステロイド応答を高めていることを明らかにした。さらにこの発現誘導が、シロイヌナズナにおけるオーキシンとブラシノステロイドの共力的な作用に関与することを明らかにした。これらの結果からオーキシンによるARFを介したブラシノステロイド受容体遺伝子発現およびブラシノステロイド感受性の調節は単子葉植物と双子葉植物で共通していると考えられた。 新規のイネ突然変異体elf1-1は暗形態形成が起こらない、ブラシノライド投与で鞘葉が伸長しない、カスタステロンが蓄積するなどの典型的なブラシノステロイド非感受の表現型を示した。elf1-1の原因遺伝子は第3染色体に座乗し、U-box 型のE3リガーゼをコードしていたことから、標的タンパク質のユビキチン化を介してブラシノステロイド情報伝達に機能していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画は概ね達成した。また実施計画に記載した内容以外にも本研究の推進に結びつく研究成果を挙げることができ、2報の原著論文(いずれも筆頭かつ責任著者)を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の中心的な研究対象である新規ブラシノステロイド情報伝達因子ELF1について、当初予定していた定量的PCR法による遺伝子発現解析に加え、より網羅的な結果が得られるmicroarray法も用いることにした。解析結果はすでに得られており、ブラシノステロイド情報伝達系におけるELF1の位置づけについて貴重な情報が得られた。今後はこの結果を活用・発展させながら、基本的には当初計画に従ってELF1タンパク質の機能について研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試験用イネに対する農薬散布用として最後に購入した噴霧器が、消費増税前の値引きセールのため想定より安く購入できた。 次年度使用額23円は翌年度分として請求した助成金と合わせて、消費増税による購入額上昇の対応に充てる。
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Research Products
(3 results)