2012 Fiscal Year Research-status Report
サプレッション配列による新規遺伝子発現抑制技術の開発とメカニズムの解明
Project/Area Number |
24780009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小郷 裕子 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (90572214)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子サイレンシング / RNAi / 植物 |
Research Abstract |
遺伝子抑制法として用いられているアンチセンス法やRNAi法は、特許で抑えられており、新たな遺伝子抑制法の開発が急務である。本研究では新規遺伝子発現抑制システムRSISのRNAサイレンシングの有効性の確認と、分子メカニズムを解明する。現在までの研究で、RSISはイネにおいて、いくつかの発現量が比較的高い遺伝子においてサイレンシング効果が認められている。しかしながら、シロイヌナズナでは効果が認めらていない。そこで、本研究ではシロイヌナズナにおいて(も)効果のあるRSISのようなサプレッション配列を検索することにした。まず、GFPを発現するシロイヌナズナを作製した。次に、ランダムな配列のDNAをGFPの一部のDNA配列と融合し、ランダムDNA-GFPライブラリーを作製した。このライブラリーを、GFPを発現するシロイヌナズナに導入した。形質転換後、GFPが光らなくなることを指標にスクリーニングを行い、ランダムDNA配列を同定した。本年度は、20種類程度のサプレッション配列をコレクションすることができた。これらの配列の多くは、mRNAレベルでGFPの発現を抑制した。これらの配列はいくつかのゆるい共通モチーフを持ち、これらがサプレッションに関わっている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シロイヌナズナを育成する温室に害虫が発生したため、ライブラリースクリーニングのためのシロイヌナズナが大量に被害を受けたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに同定した20種類程度のサプレッション配列について、GFP以外の遺伝子でも効果があるかどうかを確認する。small RNAの有無を確認する。サプレッション配列による遺伝子抑制の原因遺伝子を同定するため、RNAiの経路のどの遺伝子が関わっているかを調べる。また、RNAiの経路以外の遺伝子についても調べるため、サプレッション効果が認められる個体を選別し、EMSにより突然変異を誘起する。この変異体から、GFPが光るようになる植物体をスクリーニングする。RNAiの経路の遺伝子に変異が入っているラインが取れてくる可能性があるので、マッピングに移る前に、これらの遺伝子に変異が入っていないことや発現が抑制されていないことを確認する。今までにわかっているRNAi経路の遺伝子に変異が入っていなければ、マッピングにより原因遺伝子を特定する。原因遺伝子としては、サプレッション配列に結合するような、RNA binding活性のあるタンパク質が考えられる。もしRNA binding活性があるようなドメインを有していたら、サプレッション配列のmRNAとの相互作用を、yeast three hybridで確かめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シロイヌナズナの育成および分子生物実験、酵母や大腸菌を用いた実験に使用する予定である。
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