2013 Fiscal Year Research-status Report
サプレッション配列による新規遺伝子発現抑制技術の開発とメカニズムの解明
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24780009
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小郷 裕子 独立行政法人農業生物資源研究所, 機能性作物研究開発ユニット, 研究員 (90572214)
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Keywords | 遺伝子サイレンシング / RNAi / 植物 / 転写後サイレンシング |
Research Abstract |
本研究では新規遺伝子発現抑制システムRSISのRNAサイレンシングの有効性の確認と、分子メカニズムを解明する。現在までの研究で、RSISはイネにおいて、いくつかの発現量が比較的高い遺伝子においてサイレンシング効果が認められている。しかしながら、シロイヌナズナでは効果が認めらていない。そこで、本研究ではシロイヌナズナにおいて(も)効果のあるRSISのようなサプレッション配列を検索することにした。まず、GFPを発現するシロイヌナズナを作製した。次に、ランダムな配列のDNAをGFPの一部のDNA配列と融合し、ランダムDNA-GFPライブラリーを作製した。このライブラリーを、GFPを発現するシロイヌナズナに導入した。形質転換後、GFPが光らなくなることを指標にスクリーニングを行い、ランダムDNA配列を同定した。本年度は、500ライン程度のライブラリー導入形質転換体を作製し、その中から20ライン程度のGFPが光らないラインをスクリーニングした。これらのラインは、世代を経てもサプレッションが継続した。これらのラインのランダム部分の配列を調べたところ、全て異なる配列であった。これらの配列の多くは、mRNAレベルでGFPの発現を抑制した。これらのサプレッション配列を、もう一度GFPを発現するシロイヌナズナに導入したところ、数ラインについてGFPの強い発現抑制が確認された。また、RNAiのサプレッションに関わる遺伝子のノックアウトラインを取り寄せ、またノックダウンラインを作製し、GFPのサプレッションが起こっているラインと掛け合わせた。現在、掛け合わせたラインを育成し、解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シロイヌナズナを育成する温室に害虫が発生し、ライブラリースクリーニングのためのシロイヌナズナが大量に被害を受けたため。また、その後も害虫が小規模ながら発生することがあり、研究が少しずつ遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに同定した数種類のサプレッション配列について、GFP以外の遺伝子でもサプレッション効果があるかどうかを確認する。small RNAの有無を確認する。サプレッション配列による遺伝子抑制の原因遺伝子を同定するため、RNAiの経路のどの遺伝子が関わっているかを調べる。また、RNAiの経路以外の遺伝子についても調べるため、サプレッション効果が認められる個体を選別し、EMSにより突然変異を誘起する。この変異体から、GFPが光るようになる植物体をスクリーニングする。RNAiの経路の遺伝子に変異が入っているラインが取れてくる可能性があるので、マッピングに移る前に、これらの遺伝子に変異が入っていないことや発現が抑制されていないことを確認する。今までにわかっているRNAi経路の遺伝子に変異が入っていなければ、マッピングにより原因遺伝子を特定する。原因遺伝子としては、サプレッション配列に結合するような、RNA binding活性のあるタンパク質が考えられる。もしRNA binding活性があるようなドメインを有していたら、サプレッション配列のmRNAとの相互作用等を確かめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
植物育成温室において、害虫が発生しシロイヌナズナに大きな被害が出たため、実験が大幅に遅れた。このため、実験に使用予定であった試薬や機器についていくつか購入を見送ったものがあるため、当該助成金が生じた。 シロイヌナズナの育成と形質転換、シロイヌナズナミュータントの購入、DNA、RNA、タンパク抽出および解析実験、バクテリアを用いた解析実験等に使用する。
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