2014 Fiscal Year Research-status Report
サプレッション配列による新規遺伝子発現抑制技術の開発とメカニズムの解明
Project/Area Number |
24780009
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小郷 裕子 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物生産生理機能研究ユニット, 研究員 (90572214)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 遺伝子サイレンシング / RNAi |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新規遺伝子発現抑制システムRNA silencing inducible sequence (RSIS)のRNAサイレンシングの有効性の解析と、その分子メカニズムの解析を目的とする。RSISは、約100 b程度のヒトグルカゴンペプチドをコードするDNA配列であり、この5'側と3'側に、抑制させたい遺伝子の配列の一部を融合させると、転写後発現抑制を誘導できる。RSISはイネにおいて、比較的発現量が高い遺伝子でサイレンシング効果が確認されている。しかし、シロイヌナズナでは明確な効果が認められていない。そこで、本研究では、分子メカニズムの解析に有利であるシロイヌナズナにおいて効果のあるサプレッション配列を検索することにした。方法としては、まずランダムDNA配列を作製し、これらの5'と3'側にGFPの配列の一部を融合したライブラリーを作製する。このライブラリーを、GFPを発現するシロイヌナズナに導入し、GFPが光らなくなる(=サプレッションが起こる)ことを指標として、新規サプレッション配列をスクリーニングする。前年度までに、500ライン程度のライブラリー導入形質転換体を作製し、この中からGFPの強い抑制が確認された数ラインと導入されたランダム配列を同定した。これらのラインは、mRNAレベルでGFPの発現が抑制されていた。これらの配列に共通なモチーフを検索したところ、いくつかの弱い共通性を持つモチーフが見つかった。また、イネによる実験から、RSISのサプレッション効果は、RSISが融合されたmRNAの転写終了が異常になることが原因となって起こることがわかった。また、イネにおいて効果が確認されているヒトグルカゴンペプチド以外のサイレンシング配列においても、RSISと同様の経路でサプレッションが起こっていることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ライブラリー形質転換体の作製時に、シロイヌナズナを育成しているグロースチャンバーに害虫が発生したため、実験が遅れた。また、申請者が所属する研究室がかわったため、実験のセットアップ等に時間がかかっており、研究の進行が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までに同定した数個のサプレッション配列の効果を確かめるため、GFP以外の遺伝子の抑制に効果があるかどうかを確認する。また、small RNAの有無を確認し、イネと同様な経路でサプレッションが起こっているかどうかを確認する。サプレッション配列のサプレッション機構の分子メカニズムを解明するため、まず、RNAiによる遺伝子サプレッションに関わる遺伝子とそのファミリー遺伝子のノックアウトシロイヌナズナとの交配により、RNAi経路の遺伝子が関わっているかどうか、また、どの遺伝子が関わっているかを調べる。またRNAi経路以外の遺伝子が関わっている可能性があるため、強いサプレッションが確認されているラインについて、EMSなどで突然変異を誘導し、この変異体からGFPが再び光るようになったラインをスクリーニングし、サプレッション原因となる遺伝子の同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
所属する研究室において、緊急を要する仕事が増えたため、そちらに大幅な労力を要することになり、本研究課題の遂行が遅れたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
シロイヌナズナの育成、イネの育成、微生物の培養、分子生物学実験、論文投稿、出張費等に使用する。
|