2013 Fiscal Year Annual Research Report
国際貿易を介した雑草の移入が、国内の雑草の分布と遺伝構造に与える影響の解明
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24780011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下野 嘉子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40469755)
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Keywords | 外来植物 / 侵入経路 / 遺伝構造 |
Research Abstract |
穀物には多種多様な雑草種子が混入しており、穀物貿易は外来雑草の主な侵入経路の1つとして考えられている。近年、輸入穀物に混入して持ち込まれた外来雑草が国内の農耕地で問題となっているとの報告はあるが、その定着や拡散について定量的な評価はなされていない。本研究では、輸入穀物への混入率が高いドクムギ属を例に、輸入穀物からのこぼれ落ち由来と考えられる個体が穀物輸入港でどれくらい広がっているのか、またその分布は穀物の搬送経路の構造によって影響を受けているのかについて調査した。ドクムギ属は世界中の農耕地で問題雑草となっている一方、牧草や緑化植物として広く利用され、全国の路傍や畑で雑草化している。 SSRマーカー4遺伝子座を用いた遺伝解析の結果、輸入コムギへの混入個体は牧草や緑化に使用されている栽培品種とは遺伝的に分化していることが明らかとなった。また、輸入ムギの陸揚げ量の多い2港(茨城県鹿島港および香川県坂出港)において、陸揚げ場所を中心とした半径約8km四方に生育するドクムギ属17~20集団から各30個体ずつ葉を採取し遺伝解析を行なった結果、両港ともに穀物の陸揚げ場所から2km圏内の集団は輸入コムギ混入個体と、4km以上離れた集団は栽培品種と遺伝的に近いことが示された。また、荷揚げ場所から近くても主要道路からはずれた市街地の道ばたや河川堤防には、栽培品種と遺伝的に近い個体が生育していた。従って、輸入穀物由来のドクムギ属が陸揚げ場所および穀物の搬送道路沿いに局所的に生育しており、栽培品種と交雑可能であるにも関わらず、花粉や種子散布による周囲への拡散は限られていることが示された。
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Research Products
(6 results)