2013 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズ種子発芽機構における活性酸素シグナルの網羅的解析
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24780014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 勇志 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50611571)
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Keywords | 活性酸素シグナル / 発芽 / ダイズ |
Research Abstract |
種子発芽メカニズムは、モデル植物であるアラビドプシスやイネにおいて、多数の報告が存在し、植物ホルモンであるジベレリンやアブシジン酸のクロストークを中心に理解されている。近年、この植物ホルモンに加えて、種子発芽メカニズムにおいて活性酸素(ROS)が重要な役割をになっていることが明らかとなってきた。そこで、本研究ではダイズの種子発芽と活性酸素の関係について調査した。ダイズ種子発芽は、過酸化水素処理(活性酸素)により促進し、抗酸化物質処理により抑制した。ダイズ種子は吸水後、子葉ではなく幼根において活性酸素を生成した。活性酸素の下流で働く植物ホルモンを網羅的に解析したところ、エチレンの関与が示された。そこで、エチレン含量を測定したところ、抗酸化物質処理によって発芽時のエチレン生成が抑制されるとこが明らかとなった。さらに、エチレン生合成遺伝子の発現は過酸化水素処理で促進され、抗酸化物質処理により抑制された。エチレンシグナルの下流で働くEIN3の特異的抗体を作成後イムノブロットを行い、抗酸化物質処理によるEIN3の抑制を確認した。次に、活性酸素により誘導されたエチレンが、幼根の細胞形態に与える影響について調査した。抗酸化物質処理では幼根の細胞数に変化はなかったが、細胞面積が小さくなっていた。更に、エチレン誘導剤であるエテホンを抗酸化物質と同時に処理したところ、細胞面積が回復した。以上の結果から、ダイズの種子発芽機構において、活性酸素は不可欠であり、その発芽制御メカニズムはエチレンシグナルを介した幼根の細胞肥大であると結論づけた。
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Research Products
(3 results)