2014 Fiscal Year Annual Research Report
種子休眠調節の分子機構:グルコシル化経路によるアブシジン酸不活性化機構の解明
Project/Area Number |
24780017
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今泉 智通 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター 生産体系研究領域, 研究員 (10509235)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 種子休眠 / 休眠サイクル / 埋土種子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではコナギ(Monochoria caginalis)種子の野外での休眠サイクルの分子機構を目的とし、特に休眠サイクルとアブシジン酸不活性化の関係に着目して研究を進めた。 野外から回収した種子における植物ホルモンを測定した結果、アブシジン酸やジベレリンなど、種子休眠・発芽を調節するとされる植物ホルモンの内生量に季節変動は見られず、休眠サイクルとの関係は認められなかった。また、遺伝子発現解析の結果においても、アブシジン酸不活性化に関与する遺伝子の発現量に明瞭な季節変化は見られなかった。他の植物ホルモンの生合成・不活性化関連の遺伝子についても、休眠サイクルとの関連は認められなかった。 遺伝子発現と休眠サイクルの関係に関しては、本課題では、コナギ種子の遺伝子発現を網羅的に定量するマイクロアレイを開発した。本マイクロアレイを用いて埋土種子トランスクリプトームの季節変動を調査したところ、埋土前の一次休眠種子、埋土1年目に最も深い休眠状態にあった二次休眠種子、埋土2年目に最も深い休眠状態にあった二次休眠種子はそれぞれ異なる遺伝子発現パターンを示した。また休眠覚醒種子についても、埋土1年目に最も休眠覚醒していると推定された種子の遺伝子発現パターンは、他の休眠覚醒種子と大きく異なる遺伝子発現パターンを示した。これらの結果から、埋土種子の休眠状態は、発芽試験で推定されるより大きな季節変動をしており、散布後年数の影響も受けると考えられた。また、Late Embryogenesis AbundantやS-adenosyl-l-homocysteine hydrolaseをコードする遺伝子と相同性の高い配列において休眠サイクルとの強い相関が抽出され、本種における休眠サイクルの調節遺伝子の候補と考えられた。
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