2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24780019
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
南條 洋平 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所畑作物研究領域, 主任研究員 (70457381)
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Keywords | ダイズ / 湿害 / 耐湿性 / 光 / 黄化芽生え / 解糖 |
Research Abstract |
日本におけるダイズは主に水田転換畑で栽培されている。播種期が梅雨期と重なる事情から発芽から出芽にかけての幼苗期に湿害の被害を受けやすく、収量の減少につながる。耐湿性育種素材を開発するため、遺伝子工学・逆遺伝学的手法を活用する上で耐湿性を制御する鍵因子を明らかにする必要がある。本研究では冠水下のダイズ黄化芽生えに光を照射すると暗所で冠水したそれよりも正常な生育が冠水終了後にみられる現象に着目し、その湿害回避の機構および関連因子を明らかにし、耐湿性制御因子を同定することを目的とする。 前年度までに、湿害評価系を用いてダイズ黄化芽生えを明所および暗所で冠水し生理変化を解析し、冠水下ダイズの明所・暗所における溶存酸素消費に顕著な差がないことを明らかにし、障害の発生する幼根において光により量的変動を示すmRNAおよびタンパク質をトランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析により同定した。 本年度は、光により量的変動を示すmRNAおよびタンパク質の情報を基にしたバイオインフォマティクス解析により同定された変化の起こる代謝の代謝物測定さらには阻害剤を用いた代謝調節によりその効果の検証を行った。冠水下のダイズ芽生え幼根において解糖、発酵、アミノ酸、ヌクレオチド代謝や酸化還元システム、糖・硫酸塩輸送などの一部が光で調節されていることが分かってきた。解糖・発酵の代謝物である糖、アルコールの測定により分解・生成がそれぞれ光により抑制されることが確認された。また解糖系酵素の阻害剤を用いた生理実験において暗所でも解糖系酵素を調節することにより冠水終了後の生育の改善がみられた。これらの結果から解糖を調節することが耐湿性を制御する上で重要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)