2013 Fiscal Year Research-status Report
地方都市の市街地内緑地の農的活用に関わる計画論的研究
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24780025
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (50435468)
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Keywords | 農的利用 / 斜面市街地 / 空閑地 / 環境保全意識 / 共同菜園 |
Research Abstract |
本研究の第一の目的である農的に活用された市街地内緑地の実態については,長崎県長崎市の斜面市街地における空家が除却により発生した空閑地の分布と利用状況を明らかにした.また長崎県島原市安中三角地帯嵩上げ事業域内の土地区画整理区域の農的利用の状況を明らかにした.同成果は,先行研究の不備の補完にくわえて,対象地域の計画立案に役立つ情報を整備した点から,重要な成果といえる. 第二の目的である農的に活用されている市街地内緑地の環境保全機能の評価については,長崎県長崎市の都市住民を対象に,前年度に実施した農的利用状況と環境保全意識に係るアンケートの解析を進めた.同調査は,地方中核都市における農的利用の意向を明らかにした等の先行研究の不備を補完した点において,重要な成果といえる. 第三の目的である市街地内緑地の農的活用の維持・推進に資する政策の検討をめぐる主要な成果に関して,第一の成果は先行の取り組みのレビューをもとに市街地内緑地の農的利用に関わる計画実現の方向性を論じたことである.本成果は,これまでに取り組まれることが少なかった市街地内緑地の農的利用に関わる計画実現の一般的な方向性を提示した点において,今後の市街地内緑地の農的利用に関わる計画を推進させる重要な成果と考えられる.第二の成果は,愛媛県松山市の民間ハウスメーカーが開発した住宅地である「グリーンヒルズ湯の山」における共同菜園について,担当者に対するヒアリングをもとに,同菜園の誕生の経緯,運用状況,そして運用上の課題を明らかにしたことである.本成果は,民間のハウスメーカーが主導する農的利用の進め方や運営上の課題を明らかにした点において,類似の取り組みの実施を検討しているハウスメーカーにとって重要な成果といえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,下記に示す通り交付申請書に記載した3つの研究の目的に対して,一定の成果を上げている,あるいはデータを収集し解析を行っているといえる. (1)第一の目的である農的に活用された市街地内緑地の実態については,交付申請書の研究計画・方法に記載した斜面市街地と住居系市街地における空閑地の発生状況と発生した空間の農的利用の特性を明らかにしたこと. (2)第二の目的である農的に活用されている市街地内緑地の環境保全機能の評価については,長崎県長崎市の都市住民を対象に,農的利用状況と環境保全意識の計測を目的とするアンケートの解析を進め,先行研究の成果を補完する成果を上げたこと. (3)第三の目的である市街地内緑地の農的活用の維持・推進に資する政策の検討をめぐる主要な成果に関して,市街地内緑地の農的利用の計画実現の一般的な方向性を提示し,民間のハウスメーカーが主導する農的利用の進め方や運用上の課題を明らかにしたこと. 上記から本研究の「研究の目的」の達成度は,「おおむね順調に進展している」と判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
第一の目的である農的に活用された市街地内緑地の実態解明の推進に向けて,市街化区域内農地に関しては,前年度に引き続き各市から面積等のデータを入手する.先のデータにもとづき市街化区域内農地を有する地方都市の類型化を行い,各類型から代表する地域を選定する.選定された地域においては,現地踏査にもとづき,利用状況や利用をめぐる問題点を解明する.空閑地に関しては,斜面市街地に関わるこれまでの成果のまとめを通じて,斜面市街地にて空閑地が発生し農的利用が行われるプロセスの類型化を行う. 第二の目的である農的に活用されている市街地内緑地の環境保全機能の評価については,2012年度に実施したアンケートの更なる解析とともに,斜面市街地を対象に農的利用がなされている空閑地の福祉住環境機能を評価する予定である. 第三の目的である市街地内緑地の農的活用の維持・推進に資する政策の検討に関しては,大都市圏以外の地方自治体における市街化区域内農地の保全政策と住居系市街地における空家除却による空閑地創出政策の運用状況を,アンケートとヒアリングから明らかにする予定である. 最終的には,これまでの成果を整理・統合し,地方都市の市街地内緑地の農的活用に関わるガイドラインとしてまとめる予定である. なお得られた成果については,関連学会誌(農村計画学会誌,ランドスケープ研究等)に投稿する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,次年度に持ち越しとなるものが217,206円生じた.生じた理由は,次の通りである.本年度は,大都市圏以外の地方自治体における市街化区域内農地の保全施策の運用状況を,アンケートとヒアリングから明らかにし,その成果を関連学会にて発表する予定であった.しかしアンケートは,項目設定の根拠となるデータが不足していたため,実施できなかった.そのため本年度は,関連学会での発表もできなかった. 次年度に持ち越しとなった研究費は,本年度に実施できなかったアンケート調査(アンケート票の印刷,アンケート票を収納する封筒,返信用封筒,切手代等)と成果を発表する大会への参加費及び旅費に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)