2013 Fiscal Year Research-status Report
アブラナ科植物とモンシロチョウのヘッドスペース揮発性成分を介した相互作用の解明
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24780028
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
池浦 博美 明治大学, 農学部, 助教 (10440158)
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Keywords | モンシロチョウメス成虫 / アブラナ科植物 / 選好性 / 揮発性成分 |
Research Abstract |
本年度は,モンシロチョウメス成虫が,キャベツを含め様々なアブラナ科植物を探索・産卵し,その幼虫が葉を食害することから,アブラナ科野菜キャベツ,ダイコン,カラシナ,ブロッコリーおよびハクサイの5種の植物体へのメス成虫の選好性強度と,それらヘッドスペースへの選好性強度を比較するとともにヘッドスペースに含まれる揮発性成分を解析することによって,アブラナ科植物共通のモンシロチョウメス成虫誘引成分を特定することを目的とした. 供試植物5種に対するモンシロチョウメス成虫選好性は,キャベツを対照植物として選好実験を行ったところ,メス成虫は,キャベツをカラシナ間で59%,ハクサイ間で58%,ダイコン間で61%,ブロッコリー間で57%とキャベツを有意に選好した.カラシナとの組み合わせでは,カラシナをハクサイ間で66%,ダイコン間で62%,ブロッコリー間で61%と有意に選好した.ハクサイとの組み合わせでは,ハクサイをダイコン間で65%,ブロッコリー間で55%と有意に選好し,ダイコンとブロッコリーの組み合わせでは,ダイコンを65%と高く選好した.以上の結果より,モンシロチョウメス成虫の選好性は,キャベツ>カラシナ>ハクサイ>ダイコン>ブロッコリーの順となることが判明した. 次に,供試植物5種のヘッドスペース共通揮発性成分を分析・比較を行った.供試植物5種に共通して含まれる29成分が検出された.また,キャベツ,カラシナ,ハクサイ,ダイコンおよびブロッコリーの特有揮発性成分は,それぞれ19成分,9成分,5成分,19成分および8成分であり,これら化合物が揮発性誘引成分である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前2年度の結果を踏まえて、植物が放出する揮発性成分の組成や放出量は、生育ステージ、光周期および温度などの外的環境要因によって変動することが知られている一方で、アブラナ科植物の発育中の各段階におけるモンシロチョウ揮発性誘引成分のモンシロチョウメス成虫の誘引性強度の変動を検討した研究は見当たらない。そこで、アブラナ科植物キャベツの生育期間中に放出されるヘッドスペースを経時的に回収し、その組成と放出量の変動とモンシロチョウメス成虫の誘引性強度を計測し、キャベツの発育とモンシロチョウメス成虫の選好強度との関係を明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、前年度に使用した消耗品類の残りを使用したことと各実験の消耗品使用額が低かったため、予算額よりも比較的安く研究が遂行できた。 次年度は、前2年を比較して栽培と分析回数が大幅に多くなる予定であり、分析実験に関わる消耗品類、特にガスクロマトグラフィーに使用する高純度のヘリウムガスの価格は年々高騰しているため、前年度の使用額を上回ると予測される。
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