2012 Fiscal Year Research-status Report
キクの概日リズムが支配する花成・休眠の分子基盤の解明
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24780031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
小田 篤 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所花き研究領域, 主任研究員 (00375437)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キク / 短日植物 / 概日リズム / 花成 / 休眠 |
Research Abstract |
キクタニギクから概日リズム関連遺伝子としてCsLHY、CsTOC1および、CsGI、花成関連遺伝子としてCsCOL-1および、CsCOL-2の全長配列のクローニングを行った。これら遺伝子の全長を過剰発現するコンストラクトを作成した。さらに、CsLHYについてはC末側にStrong transcription repression domain (SRDX)を付加し過剰発現するコンストラクトを作成した。これらのコンストラクトをアグロバクテリウム法によりキクタニギクに導入し、形質転換体を作出した。 本年度はCsLHY-SRDX過剰発現体について表現型の解析を行った。キクは本来短日植物であるが、CsLHY-SRDX過剰発現体は中性植物の形質を示した。CsLHY-SRDX過剰発現体は短日条件において野生型より遅咲き、長日条件においては野生型に比べて早咲きとなった。キクにおいて花成ホルモンをコードするCsFTL3の発現は短日条件下において、野生型に比べてCsLHY-SRDX過剰発現体で低下しており、これが遅咲き形質の原因となっていることが考えられた。一方で、恒明条件における概日リズム関連遺伝子CsTOC1、CsGIおよび、CsCAB2の発現のリズムと振幅はCsLHY-SRDX過剰発現体において部分的に維持されていた。このことから、CsLHY-SRDX過剰発現体では概日リズムが完全に破壊されていないが、花成の形質には大きく影響することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はキクから単離した概日リズム関連遺伝子の形質転換体を作成することに成功し、順調に計画を達成した。さらに、次年度の計画の形質転換体の解析についても前倒しで研究を進め、本来短日植物であるキクがCsLHY-SRDX過剰発現体では日長反応性が失われていることを明らかにした。このことから、研究は当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCsLHY-SRDX過剰発現体が長日条件で早咲き形質となる点について解明していく。CsLHY、CsTOC1、CsGI、CsCOL-1および、CsCOL-2を過剰発現する形質転換体は作成済みで現在増殖中である。解析に必要な個体数が確保され次第、花成および、概日リズムへの影響について解析を進める予定である。また、作成された形質転換体のうち、概日リズムに深刻な異常がある形質転換体については冬期に休眠するか、否かについて検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額58,405円は研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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