2013 Fiscal Year Annual Research Report
キュウリモザイクウイルス感染による宿主代謝遺伝子の発現制御と退緑病徴発現との対応
Project/Area Number |
24780041
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
望月 知史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (30469837)
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Keywords | キュウリモザイクウイルス / 葉緑体 / トランスクリプトーム / 外被タンパク質 / 光合成関連遺伝子 |
Research Abstract |
キュウリモザイクウイルス(CMV)に感染したタバコが退緑症状を発症する機構を解明するために,退緑の激しさが異なる3種のCMV株を用いてモザイク葉退緑組織におけるトランスクリプトーム解析をタバコマイクロアレイにより行った.全てのCMV株で共通して健全タバコと比べて発現量が2倍以上増加/減少していた遺伝子はそれぞれ935個/225個であった.遺伝子オントロジー解析の結果,発現量が増加している遺伝子では核局在遺伝子が最も多く(約30%),発現量が減少している遺伝子では葉緑体局在遺伝子が最も多かった(約35%).CMV株間では発現が質的に異なる遺伝子はなく,発現量増減の量的違いのみ認められた.このことは,毒性が異なるCMV株間でもタバコ応答機構が類似していること,CMV株間の毒性の違いはタバコ遺伝子発現の量的差違が関係していることを示唆している. 光合成関連遺伝子の減少が退緑の原因であるかどうか確かめるため,光合成関連遺伝子の発現を誘導するシロイヌナズナ転写因子atGLK-mycが過剰発現する組換えタバコを作出した.各種光合成関連遺伝子の発現量が非組み換えタバコと比較して増加している2ラインに毒性の異なる3種のCMVを接種したところ,組換えタバコは野性型タバコ同様に退緑症状を示し,光合成関連遺伝子の発現量も減少していた.このことから,CMV感染による退緑症状にはatGLKが関わるパスウェイは関与していないことが考えられた. なお,活性酸素種(H2O2およびO2-)は退緑症状を示した部位からは検出されず,さらに全てのCMV感染に共通して発現量が増加していた抗酸化遺伝子は細胞質アスコルビン酸ペルオキシダーゼのみであった.
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Research Products
(2 results)