2012 Fiscal Year Research-status Report
新規な神経活動依存的遺伝子を用いた昆虫の性フェロモン神経回路の可視化と機能解析
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24780047
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木矢 剛智 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (90532309)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カイコガ / ショウジョウバエ / Hr38 / 初期応答遺伝子 / 昆虫 / 神経活動 / NBRE |
Research Abstract |
性フェロモンによる行動制御のメカニズムを、嗅覚系のシンプルな昆虫を用いることで解明することを試みている。これまでに神経活動依存的な発現を示す新規な初期応答遺伝子としてHr38を同定し、Hr38のプロモーター活性を利用した神経回路の可視化と操作法の確立に取り組んできた。 平成24年度は、遺伝子組み換えカイコガ作出のための機器類のセットアップを行い、Hr38のプロモーター領域の同定を試みた。Hr38の転写開始点から上流2.6kbもしくは5kbのゲノム断片にGAL4を繋いだコンストラクトを導入したカイコガを作成したが、神経活動依存的なGAL4の発現は認められなかった。そこでさらに広いゲノム領域が神経活動依存的な転写制御に関わる可能性を考え、第1イントロンを含む18kbのゲノム領域をGAL4の前に配置したコンストラクトを導入したカイコガを作成したが、残念ながら神経活動依存的なGAL4の発現は認められなかった。遠位のゲノム領域からの制御がHr38の神経活動依存的な転写制御に重要であると考えられた。同様の実験をショウジョウバエを用いて行ったが、Hr38周辺の30kbに渡るゲノム領域において、適切なプロモーターを単離することはできなかった。 そこで次にHr38が転写活性化因子であることを利用し、Hr38の結合配列(NBRE)を利用した神経活動の検出法の構築を行った。その結果、ショウジョウバエ・カイコガ双方において、神経活動依存的なHr38の発現を検出することに成功した。現在、この方法を利用した神経回路の可視化条件の最適化を行っている。 また別のアプローチとして、Hr38の遺伝子座にGAL4を導入するジーン・ターゲティングを行った。これまでにショウジョウバエではターゲッティングコンストラクトを導入した系統を作出している。また、カイコガではTALENを用いたターゲッティングに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
通常、初期応答遺伝子の発現制御は、直近のゲノム領域によって制御されることが多いにも関わらず、神経活動依存的なHr38の発現制御が遠位のエンハンサーにより制御されているという予想外の制御が認められ、神経活動の可視化に必要なトランスジェニック系統の作出に手間取ってしまった。しかし、NBREを利用した手法により神経活動を検出することが出来たため、今後はこの手法を利用することで目的の達成は十分に可能であると考えられる。 また、失敗のリスクは高いが、成功した場合にはHr38の発現を完全にモニターすることが出来ると考えられるジーン・ターゲッティングを並行して走らせることにより、NBREを利用した方法以上に、より良い系統を作出することが出来る可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにショウジョウバエでは、NBREの繰り返し回数を5x,10x,15x,25x,35x,40xとした6パターンを試し、10xが最も感度良くHr38の発現をモニター出来ることを確認している。また、カイコガにおいては5x,15x,25x,35xの4パターンを試し、25xもしくは35xが最も感度が良いことを確認している。これを踏まえ、最適なNBRE繰り返し回数プロモーター下流に、転写活性の強さの異なるGAL4(GAL4Δ,GAL4,GAL4-VP16,GAL4-p65)を配置した系統を作出し、どの条件が最も精度良く神経活動依存的な神経回路の可視化に有用であるかを検討する。 またこれまでに、GAL4のレポーターカイコガとして、5xUAS-mCD8GFP, 5xUAS-GFP.NLS, 20xUAS-IVS-myrGFP-p10等の系統を作出済みであり、GFPの発現が最も強い系統を選別する。 その上で、カイコガ・ショウジョウバエにおいて、性フェロモンに反応した神経細胞の可視化・投射パターンの詳細な解析を行い、性フェロモン情報処理を行う神経回路を明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主に消耗品類(遺伝子工学試薬類及びプラスチック器具類)や昆虫の飼育用消耗品類(カイコガ及びショウジョウバエの餌や器具類)に使用する。また、学会発表及び論文発表に必要な費用も次年度研究費より支出する。
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Research Products
(10 results)