2012 Fiscal Year Research-status Report
生体イメージングを用いた触角と触角葉における性フェロモン情報提示機構の解明
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24780048
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Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
井下 強 京都大学, 生命科学系キャリアパス形成ユニット, 研究員 (20601206)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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| Keywords | 嗅覚 / 生体イメージング / ショウジョウバエ |
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| Research Abstract |
ショウジョウバエのフェロモン受容機構の包括的解明のため、嗅細胞の投射先である触角葉のハエの匂いやエサの匂いに対する応答を、生体イメージングにより観察した。これまでの研究では、性フェロモンはtrichoid感覚子で受容されると考えられてきたが、それ以外の感覚子に接続する嗅細胞においても、匂い情報をもとに、ハエの成熟度や性別、交尾経験を識別しているという結果が得られている。また、飼育時のエサの状態に応じて、匂いが変化する可能性も示唆された。こうした結果から、ハエが匂い情報を用いて他のハエの状態を識別し、行動の制御に利用する過程の、最初の識別機構を解明するための基礎データを得ることができた。
これまでに明らかになった結果は、ハエの状態に応じた匂いの違いが、複数の嗅細胞を介して識別されている可能性を示している。また、ハエが、求愛相手の性別や成熟度、交尾経験を識別することは、これまで行動レベルでしか示されていなかったが、こうした識別機構を生理レベルで明らかにした点でも意義がある。これまでに得られた結果をもとに、今後は、識別に利用されている嗅覚受容体や匂い物質の同定を進めていく。また、飼育中のエサの種類が、ハエの匂いの違いを生むという結果は、エサの匂いとハエの匂いの組み合わせが、行動の制御に対し相互作用している可能性を示唆しており、複雑に組み合わさった匂いに対する嗅覚応答の解明につながる結果である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刺激に用いたハエの成熟度や、性別、交尾経験に依存して、複数の嗅細胞における嗅覚応答が異なっていることを示すことができた点は、当初の予測通りであり、順調に研究が進んでいる。また、エサの匂いとハエの匂いの組み合わせることで、単独の匂いに対する応答からの変化が生じることが明らかになった点やエサの匂い受容に関わると考えられてきた嗅細胞が、ハエの匂いの違いを識別している可能性が示された点は、予想を超える発見である。
しかし、予想以上に多い嗅細胞が、ハエの匂いの識別に関わっていることが明らかになっており、個々について詳細に調べる必要が出てきた。そのため、十分に意義のある結果を示すには、さらに研究を進める必要がある。
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| Strategy for Future Research Activity |
ハエの匂いに応答する嗅細胞の包括的なスクリーニングがほぼできたので、今後は、個々の嗅細胞のハエの匂いに対する応答を詳細に調べる必要がある。また、ハエの匂いに応答する嗅細胞が、エサの匂いとハエの匂いを組み合わせた匂いに、どのように応答するかを調べていくことで、ハエが、複雑な環境からの組み合わさった匂いをどのように受容しているのかを明らかにしていけることが期待できる。
具体的には、個別の嗅細胞でカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現させ、周囲の応答に影響を受けていないハエの匂いに対する嗅覚応答を記録し、その応答がエサの匂い存在下でどのように変化するのかを記録する。さらに、機能阻害や神経伝達阻害を起こし、求愛行動にどのような異常が生じるのかを調べ、求愛行動制御に関わる嗅細胞の特定を試みる。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、所属機関にある実験機材を利用できたため、予定していた機器の購入の必要が無くなったが、次年度は、所属機関を移動したため、必要な実験機器やハエの飼育、維持のための費用が多く必要である。また、結果を発表する必要もあるため、学会での発表を積極的に行う必要もあり、学会参加のための旅費の使用を計画している。
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Research Products
(1 results)
