2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングを用いた触角と触角葉における性フェロモン情報提示機構の解明
Project/Area Number |
24780048
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井下 強 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20601206)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / フェロモン / 嗅覚 / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエの嗅覚におけるフェロモン受容と求愛相手の識別のメカニズムの解明のため、生体イメージングを利用した解析を行った。体表クチクラに含まれる物質をヘキサンにより抽出し、カルシウム感受性GFPを嗅細胞で発現させたショウジョウバエの触角を刺激した時の応答を記録した。これまでの実験から、成熟度や交尾経験に応じて、体表抽出物の組成が変化すること、一部の嗅細胞は、体表抽出物だけでは雌雄の違いを区別できないが、エサの匂いと組み合わせることで、雌雄の体表抽出物に対し異なる応答を示すことが明らかになり、求愛相手識別において、体表抽出物とエサの匂い情報の統合が重要であることが示唆された。 しかし、カルシウム感受性GFPを用いた実験では、応答の時間・空間分解能が低く、詳細なデータの解析が必要とされていた。そこで、最終年度では、統計解析に長けた研究者にアドバイスを求め、詳細なデータ分析を進めた。また、情報統合の阻害が嗅覚情報識別機構に与える影響を調べるため、神経伝達を制御可能な温度制御・液体潅流システムを構築した。温度感受性TRPチャネル(TRPA1)やshibire ts1を神経で発現させ、温度条件を変えることで、任意の神経活動を亢進・抑制することが可能である。また、潅流システムを用いることで、薬剤処理による神経伝達の阻害が可能である。ドーパミン神経でシナプス小胞分泌時に蛍光強度上昇が記録できるVMAT-pHluorinとTRPA1を発現させたハエの脳を解剖し、20℃の培養液中での蛍光を観察した。高温の培養液を還流させTRPA1により神経活動を起こさせたところ、蛍光強度の上昇を確認した。エサや体表抽出物に対しては、広範な嗅細胞が応答するが、このシステムを用いることで、特定の嗅細胞だけを興奮させることが可能となり、そこからの修飾を受ける嗅細胞の投射領域の特定を進めることができる。
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Research Products
(1 results)