2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24780054
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古川 純 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40451687)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミヤコグサ / QTL解析 / 亜鉛 / セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの解析から注目した遺伝子について、今年度改めてミヤコグサB-129ならびにMG-20を対象にリシークエンスされたゲノム情報に基づいて配列比較を行ったところ、多くの遺伝子でその塩基配列に系統間差が認められなかった。また比較した領域上の遺伝子の数などが異なっている例も見られたため、更新されたゲノム配列に基づいて追加マーカーの情報も加味してより高精度なQTL解析を行ったところ、これまで対象としてきた領域に一致するようなQTLが得られなかった。そのため昨年度までの研究でB-129とMG-20間で発現量ならびに亜鉛環境への応答で差異が認められているZIP2に着目し、推定されている機能を基にコンパートメントモデルによる亜鉛動態の解析を実施した。ZIP2の機能を同じくマメ科の植物であるタルウマゴヤシで示唆されている根における導管からの亜鉛再吸収と仮定して、リアルタイムイメージング装置であるPETISにより取得された亜鉛動態から輸送活性を数値化したところ、亜鉛環境に応答した導管への亜鉛積み込みの活性がMG-20に比べB-129で4-7倍ほど大きく変動していると算定された。このような制御機構の応答性の違いが亜鉛をはじめとする金属の集積能が種間で異なることに強く関与していると考えられた。また必須元素以外の金属についての集積能を検証した結果、カリウム欠乏時に根に蓄積されるセシウム含量が両系統で大きく異なり、B-129がMG-20の約3倍となることが明らかとなった。カリウムも植物にとって主要な必須元素であり、亜鉛同様栄養環境への応答性が異なることで蓄積量が変動していると考えられ、必須元素の要求性の違い、特に反応性がミヤコグサにおけるマルチミネラル集積機構に関わっているものと考えられた。
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