2013 Fiscal Year Annual Research Report
土壌における硝酸からアンモニウムへの異化的還元反応の実態解明
Project/Area Number |
24780055
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯部 一夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30621833)
|
Keywords | DNRA / 水田土壌 |
Research Abstract |
土壌における硝酸からアンモニウムへの異化的還元(DNRA)反応を担う微生物群の特定とDNRA反応の重要性について検証した。 最初に水田土壌および転換畑土壌から分離された100株前後の硝酸還元菌を用いてDNRA活性の有無を検証した。その結果、優占属であるBacillus属、Paenibacillus属、Enterobavter属、Ralstonia属の細菌がDNRA活性を有することが明らかになった。続いてDNRA活性と生育条件の関係を検証した。まず電子供与体としてグリセロールとコハク酸を、電子受容体として15Nでラベルされた硝酸を用いて、CN比を変えて培養した。その結果、CN比(モル比)が70で上記の細菌のDNRA活性が最も高く、CN比が低いと亜硝酸を蓄積しDNRA活性は低下する傾向が認められた。続いて、電子供与体としてグルコース、グリセロール、コハク酸、酢酸、ギ酸を用いて培養したところ、グルコースとグリセロールでは高いDNRA活性が認められたが、有機酸では低下した。以上からDNRA活性は電子供与体として糖やアルコールの供給が多い時に高まることが示唆された。 次に土壌中でのDNRA反応について検証した。水田の10 cmの深度から採取した土壌を用いて、電子供与体としてグルコースを、電子受容体として15Nでラベルされた硝酸を添加した。グルコースと硝酸はCN比70になるように添加した。嫌気条件化で2日間培養し、アンモニウム、亜硝酸、硝酸の濃度と同位体比を測定した。硝酸と亜硝酸は還元されほとんど検出されなかったが、15Nでラベルされたアンモニウムの生成はわずかしか認められなかった。一方で14Nのアンモニウムの生成が認められたため、アンモニウムの主な生成プロセスは有機物の無機化であると考えられた。水田では深さにしたがって、酸化還元電位や供給される有機物が異なると考えられ、今後は水田土壌の深さ別に検証する必要があると考えられる。
|
Research Products
(3 results)