2013 Fiscal Year Annual Research Report
放射性同位体を用いた植物体内のマグネシウム移行動態と輸送体の解析
Project/Area Number |
24780056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田野井 慶太朗 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90361576)
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Keywords | マグネシウム28 |
Research Abstract |
本研究では、短半減期核種であるマグネシウム28(28Mg:半減期20.9時間)を放射性同位体トレーサーとして用い、植物中のマグネシウム(Mg)動態解析を実施することを目的とした。さらに、Mg輸送体の候補遺伝子において、28Mgを用いてMg輸送能を評価することを目的とした。解析は主にイネを用いて行った。 1.Mg欠乏処理を施した3週齢イネにおいて28Mgを経根投与したところ、第5葉のみ28Mgが移行せず、代わりに第4,6葉への28Mg輸送が促進されていることが判明した。そこで第5葉を詳しく調べたところ、Mg欠乏処理6日目において、光合成能は保っているものの、蒸散速度は無処理区と比較して半分程度に減少していた。その他Mg欠乏により顕れる症状を経時的に調べた結果、Mg欠乏の最初の症状は蒸散速度の低下であることが示された。 2.イネのMRS2ファミリーの1つであるOsMRS2-6について、Mg吸収能欠損酵母を用いた機能相補実験を実施した。28Mgを用いて吸収能を調べた結果、OsMRS2-6はMg吸収能を持つことが示された。さらに解析を進めた結果、OsMRS2-6は葉緑体でMg輸送を担っていることが示唆された。 3.根でのMg吸収様式や地上部への輸送能を調べるために、28Mgを用いて試験したところ、低pHではMg吸収能が低下することや、根の部位によって、吸収後のMg輸送先が異なることが示された。 本研究では28Mgを用いることで、植物中に存在するMgと28Mgを明確にわけて解析できた。その結果、Mgがどのように吸収され、どのように輸送されるかについて、上記の知見を得ることに成功した。
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Research Products
(9 results)