2013 Fiscal Year Research-status Report
チャのアルミニウム耐性に関わる転写因子と誘導遺伝子群の同定とその機能解析
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24780059
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
一家 崇志 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90580647)
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Keywords | STOP1転写因子 / チャ / アルミニウム耐性 |
Research Abstract |
ディジェネレートPCRおよびRapid Amplification of cDNA ends法によりチャからSTOP1相同遺伝子 (CsSTOP1) の探索を試みたが,現在までに単離している2種類のCsSTOP1相同遺伝子以外の断片配列は得られてなかった.次に,この2種類のCsSTOP1相同遺伝子 (CsSTOP1とCsSTOP2) について,遺伝子機能を評価するためのシロイヌナズナSTOP1遺伝子破壊株への組換え植物体の作製を行った.現在までに,T3種子の選抜が終了しており,CsSTOP1-compラインのT2世代を用いた解析を行ったところ,CsSTOP1相補組換え体において,低pH処理によるPGIP1,CIPK23,AtSTOP2発現量の回復がみられた.これに対し,Al処理によるAtALMT1,ALS3,AtMATE,GDH1,PLT3発現量の回復は見られなかった.同様に根伸長の回復を指標とした相補性試験においても,低pHストレスに対する根伸長の回復は見られたが,Alストレスに対する根伸長の回復は見られなかった.以上の結果から,低pH耐性に関与する遺伝子群よりAl耐性に関与する遺伝子群の転写活性の方が,STOP1転写因子のタンパク質構造に依存していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CsSTOP1とCsSTOP2機能解析のためのシロイヌナズナ組換え体の作製などほぼ完成し,固定系統の選抜も順調に進んでいる.今後の発現量解析に使用するための実験材料 (マイクロアレイチップ) や実験種子の増殖も既に入手しているため,平成26年度に解析を行うことができる. その他に,平成26年度は上記のマイクロアレイを用いた解析のほかに,チャ植物体を用いたMiSeqを使用したRNAseq解析を行うことを予定している.これにより,マイクロアレイ解析では補填しきれないチャ独自の遺伝子の発現解析が期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに得られた結果を基に,CsSTOP1とCsSTOP2相同遺伝子の相補組換え体について,詳細な表現型解析および下流制御遺伝子の解析を行う.また,シロイヌナズナマイクロアレイチップを用いた解析により行い,得られた結果とチャの遺伝子発現解析データとシロイヌナズナのデータとを比較することによりシグナル伝達経路の解明を目指す. マイクロアレイの結果などから得られた有用な遺伝子のリスト化を行うとともに,チャ植物体を用いてMiSeqを用いたRNAseq解析を試みる.これら得られた遺伝子情報を統合し,チャのAlストレス誘導遺伝子の解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分子生物学実験用の試薬類がキャンペーン価格で購入できたため,その分の差額が生じた.また,学会旅費を使用しなかったため,その分の予算に差額が生じた. 平成26年度は主にトランスクリプトーム解析を中心に行う.そのため,マイクロアレイチップとチャのカスタムアレイチップを追加購入する.また,データ解析のためのソフトウェアの購入と,研究技術相談のための旅費を計上する.さらに,RNAseq実験の消耗品の購入を行う.
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