2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24780063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
増中 章 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所飼料作物研究領域, 主任研究員 (80466010)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 植物生育促進菌類 / ミヤコグサ / 共通シグナル伝達経路 |
Research Abstract |
ミヤコグサとゆるい共生関係を構築する糸状菌Trichoderma koningii(Tk)が共通共生シグナル伝達経路(common signaling pathway:CSP)を利用しているのか検証するために、ミヤコグサの野生型および共生変異系統(pollux-、ccamK-)の根部にTkを接種し、病害抵抗性関連遺伝子であるイソフラボノイド型ファイトアレキシン(ベスチトール)生合成遺伝子、PKR1、IFS、HI4'OMT、PTR1の発現誘導パターンをノーザンブロット法により解析した。さらに、ミヤコグサの菌根形成変異系統であるME778およびME2329に同様にTkを接種し、ファイトアレキシン生合成遺伝子のノーザン解析を行った。ME778は、菌根菌認識能を欠失しており、ME2329は、菌根形成能を欠失していると考えられている。これらの変異系統を用いることで、糸状菌Tkは、ミヤコグサの菌根菌特異的共生シグナル伝達経路を利用しているか調べることができる。 ノーザン解析の結果、TkをミヤコグサのCSP変異系統(pollux-、ccamK-)に接種した場合、PKR1遺伝子の発現誘導は野生型とあまり差異はなかったが、他のIFS、HI4'OMTおよびPTR1遺伝子では発現誘導が見られた。 これら生合成遺伝子の発現誘導パターンはミヤコグサとは不親和を示すPenicillim菌やダイズ黒根腐病菌接種時と類似しており、Tkとの共生関係構築を拒絶することを意味する。また、菌根形成変異系統でも、CSP変異系統と同様の遺伝子発現パターンが検出されたことから、Tkは、これまで菌根菌特異的であると考えられてきたミヤコグサの共生シグナル伝達経路を利用している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題推進者の人事異動のため、変異系統におけるファイトアレキシン生合成遺伝子の発現応答まで終了したが、変異系統根への菌糸の侵入の確認およびファイトアレキシンの生産の確認が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
T. koningiiのCSP利用を検証するため、ミヤコグサの共生変異系統(CSP変異体:pollux-、ccamk-、ME778、ME2329)の根部にT. koningiiを接種し、3、5、7日後に根面上の菌糸の定着を光学顕微鏡により解析する。さらに、根内部への侵入を確認するために接種根のパラフィン切片を作製し、菌糸侵入を検証する。 T. koningiiの共生変異菌株の作製:T. koningiiの遺伝子変異体作製のため、開発したマーカー遺伝子を組み込んだ糸状菌用の形質転換用ベクターを用いて、プロトプラスト-PEG法や新たな遺伝子導入技術であるアグロバクテリウム法を行う。作製する遺伝子変異体からミヤコグサに対するファイトアレキシン生合成抑制能の欠損した変異体を選抜する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費:600(千円) 旅費:400(千円) 件費・謝金:100(千円) その他:100(千円)
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