2012 Fiscal Year Research-status Report
新規bZIP型転写因子による窒素欠乏応答制御メカニズム
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24780065
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木羽 隆敏 独立行政法人理化学研究所, 生産機能研究グループ, 研究員 (20532097)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 植物栄養 / 窒素欠乏 / 高親和性硝酸イオン輸送体 / Myb型転写因子 / 転写抑制 |
Research Abstract |
本申請研究は、窒素栄養欠乏の感知・伝達と応答の分子メカニズム解明を目指すものである。具体的には、窒素欠乏環境への適応に重要な役割を果たすAtNRT2.4の発現制御に関わる新規転写因子の機能解析により、その転写制御ネットワークの窒素欠乏応答における役割を明らかにすることを目標とした。 申請者は、高親和性硝酸イオン輸送体遺伝子AtNRT2.4のプロモーターの削り込みを行い、窒素欠乏応答に必要な最小プロモーター領域(約300 bp)を同定した。そして、この最小プロモーター用いたYeast-One-Hybridスクリーニングにより、この領域に結合する転写因子群の取得に成功した。申請書作成の段階では、bZIP型転写因子だけであったが、その後のスクリーニングにより新規Myb型転写因子も取得したので、両者の機能解析を並行して行った。トランジェントアッセイ法により植物体内での結合を検証したところ、新規Myb型転写因子は最小プロモーターに結合することが確かめられた。しかし、bZIP型転写因子は植物細胞内では結合が非常に弱いことが明らかになった。そこで、研究計画を変更し、新規Myb型転写因子に焦点を絞って解析を進めた。 まず、新規Myb型転写因子が転写活性化因子なのか抑制因子なのかをトランジェントアッセイにより調べたところ、転写抑制因子であることが分かった。また、窒素栄養に応答した発現パターン解析の結果、新規Myb型転写因子遺伝子とAtNRT2.4の発現の間には逆相関があることが明らかになった。これらの結果は、新規Myb型転写因子がAtNRT2.4の発現を負に制御する因子であることを示唆するものである。さらに詳細に機能解析を進めるため、現在、発現組織・細胞内局在性の解析、恒常的活性化型新規Myb過剰発現体と変異体の確立を鋭意進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書作成の段階ではbZIP型転写因子のみに着目していたが、この転写因子は、植物細胞内では最小プロモーターとほとんど相互作用しないことが判明した。そこで、その後のスクリーニングで取得し、植物細胞内での結合も確認されたMyb型転写因子にターゲットを移して研究を進めている。そのため、研究の進捗状況は予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Myb型転写因子に焦点を絞り、当初の計画に従って研究を推進する。具体的には、発現組織・細胞内局在性の解析、恒常的活性化型転写因子過剰発現体と変異体の確立、クロマチン免疫沈降法によるin vivoにおけるMyb型転写因子―AtNRT2.4プロモーター相互作用解析を行う。続いて、Myb型転写因子による窒素欠乏応答転写制御ネットワークを明らかにするため、変異体、恒常的活性化型転写因子過剰発現体を用いてマイクロアレイを行う。合わせて、転写因子-レポーター(エピトープタグ)融合タンパク質発現形質転換体を用いて全クロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-Seq)を行い、Myb型転写因子が結合するクロマチン領域を明らかにする。最終的には、以上の結果を総合化し、Myb型転写因子の転写制御ネットワークによる窒素欠乏応答統御メカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況が予定よりやや遅れたため、次年度への繰り越し(190,027円)が発生した。次年度はその遅れを取り戻し、申請書通りに研究を進める予定あるので、繰越額を含めた研究費は当初の計画通りに使用する。 本申請研究は所属研究室の既存の設備で対応できるため、設備備品は計上しない。また国内だけでなく海外においても情報収集及び成果発表を精力的に行いたいと思っており、そのために国内および海外旅費を計上した。
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Research Products
(5 results)