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2012 Fiscal Year Research-status Report

プラスミドが異種細菌間を接合伝達するための必須因子の同定

Research Project

Project/Area Number 24780087
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

新谷 政己  静岡大学, 工学部, 准教授 (20572647)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsプラスミド / 接合伝達
Research Abstract

本研究は,実際の環境中で重要な,異種細菌間におけるプラスミドの接合伝達に必須な因子の取得を目指し,重要なプラスミドの一つ,pCAR1をモデルプラスミドとして用いて実施した.まず,実施計画にも記したように,供与菌・受容菌のランダムな変異株ライブラリーを取得するべく,ミニトランスポゾンを転移させるベクターを構築した.本ベクター上のミニトランスポゾンは,対象となる遺伝子を破壊するとともに,内部にアラビノースによって誘導される制御因子をコードする遺伝子と応答するプロモーターを有する.そのため,遺伝子の破壊も,周囲の遺伝子の発現の賦活化も可能となる.現在,本ベクターを用いて受容菌のランダム変異株のライブラリーを構築中である.
また,pCAR1上のORF145-ORF146の転写量が供与菌ごとに異なる先行研究の結果に着目し,それぞれを欠損したpCAR1を作製した.その後,同一株由来の供与菌・受容菌を用いた接合実験を行ったところ,これらの遺伝子産物が接合伝達の効率を上げることに寄与していることが示唆された.
一方,Stenotrophomonas属細菌を冷却保存液より平板培地に塗布後,その16S rRNA遺伝子の配列を確かめたところ,いずれもPseudomonas属細菌と考えられる配列が得られ,目的のStenotrophomonas属細菌が保存液中に存在しないことが示唆された.
そこで受容菌としてはPseudomonas属細菌の2菌株に対象を絞り,これら異種受容菌を混合して用いた場合の接合伝達頻度を測定しやすくするために,異なる波長の蛍光を示すタンパク質を利用して判別が可能となるシステムを導入した.この受容菌を判別するシステムを用いた実験の結果,pCAR1とは異なる不和合性群に属するNAH7プラスミドが,受容菌の種類を変えると接合伝達頻度が極めて低くなる現象を見出した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ランダム変異株ライブラリー作製用のミニトランスポゾンベクターの構築,および異種微生物間の接合伝達に影響を与える可能性のある候補遺伝子を破壊したプラスミドによる接合実験については予定通りに進められた.研究代表者の異動もあり,ライブラリーについては現在作製中であり,また,ORF145およびORF146の欠損プラスミドの,異種受容菌に対する接合伝達頻度についても測定・比較を行っている最中である.
一方,研究計画において,pCAR1が接合伝達できない宿主として想定していたStenotrophomonas属X277株については,保存液より得られなかったため,計画を変更して,受容菌としてはPseudomonas属細菌の2菌株(P. putida KT2440株とP. resinovorans CA10dm4株)に絞って実験を行うこととした.また,受容菌となるCA10dm4株の全ゲノム配列の解読が完了し,塩基配列情報が利用可能となった.なお,これらの成果の一部については,国内の学会で2回発表し,また和文誌に1報,関連する総説を1報発表した.また関連する論文1報についても投稿中である.
また計画には入れていなかったが,受容菌を混合して接合実験を行うことを想定し,容易に受容菌の区別を可能とするべく,異なる蛍光タンパク質をそれぞれの菌株の染色体上に組込んだ受容菌を作製し,実際に接合実験も行った.当初の予定にはなかったが,本システムによって,pCAR1とは異なる種類のプラスミドNAH7が,受容菌をKT2440株からCA10dm4株に変更した場合,その接合伝達頻度が大きく低下する現象を新たに見出した.この現象が生じる機構を解明することは,プラスミドの違いこそあれ,本研究の目的に合致しており,X277株が得られなかった点を補うものである.従って,現在までの研究の達成度はほぼ予定通り進行していると考えた.

Strategy for Future Research Activity

これまでに作製したミニトランスポゾンベクターを用いて,受容菌の変異株ライブラリーを作製し,pCAR1を受け取れなくなる受容菌の取得を試みる.一方,NAH7を受け取れるようになったCA10dm4株の取得も同時に試みる.その際,前年度までに完了したCA10株のゲノム情報も利用する.
また,pCAR1上の接合伝達への関与が推定される遺伝子については,前年度同様に対象を絞ったうえで欠損プラスミドを作製し,異種受容菌に対する接合伝達頻度が変化するかどうか調べる.
また,スイス・ジュネーブで開催される国際学会Pseudomonas meetingに参加し,異種微生物間におけるプラスミドの接合伝達現象について発表する予定である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度には,ランダム変異ライブラリーの構築が完了しなかったため,ハイスループットな接合実験を行っていない.このための試薬・消耗品用の研究費は,平成25年度に使用予定である.また,実験計画の変更に伴い,当初予定したX277株のゲノムシークエンスは行わないが,異種微生物間の接合伝達現象の必須因子を同定するにあたり,別のプラスミドNAH7を用いるため,より多くの接合実験を行うことが予想される.従って,ゲノムシークエンスに使用予定であった試薬・消耗品のための研究費を,NAH7を用いた実験に用いることとする.また,旅費については,計画通り国際・国内学会への参加・発表のために使用する.

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Mobile genetic elements (MGEs) carrying catabolic genes.2013

    • Author(s)
      新谷 政己
    • Journal Title

      Management of Microbial Resources in the Environment” (eds. A. Malik, E. Grohmann, and M. Alves)

      Volume: なし Pages: 167-214

    • DOI

      10.1007/978-94-007-5931-2_8

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 異なる栄養条件下におけるプラスミドの接合伝達頻度の比較解析2012

    • Author(s)
      新谷政己,李美英,松井一泰,大熊盛也,岡田憲典,野尻秀昭
    • Journal Title

      環境バイオテクノロジー学会誌

      Volume: 12(2) Pages: 163-167

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] IncP-7群プラスミドpCAR1の接合伝達に関与するORF145およびORF146の機能解析2013

    • Author(s)
      新谷政己,徳丸裕樹,金原和秀,野尻秀昭
    • Organizer
      日本農芸化学会2013年度大会
    • Place of Presentation
      東北大学(宮城県)
    • Year and Date
      20130324-20130327
  • [Presentation] 複合微生物系におけるプラスミド・トランスポゾンの挙動解析

    • Author(s)
      新谷政己
    • Organizer
      第1回先端科学合同セミナー
    • Place of Presentation
      琵琶湖コンファレンスセンター(滋賀県)
  • [Remarks] 金原・新谷研究室ホームページ

    • URL

      http://163.43.139.71/~tmshint/

URL: 

Published: 2014-07-24  

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