2012 Fiscal Year Research-status Report
低炭素型枯渇油田再生化技術の開発を目指した原油分解メタン生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
24780089
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
眞弓 大介 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 産総研特別研究員 (30549861)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 生物的原油分解 / メタン生成 / 安定同位体トレーサー法 |
Research Abstract |
本研究課題では油層微生物を用いた枯渇油田再生化技術の開発を目指し,油層環境における原油分解経路と関与微生物の特定,および高圧CO2 が原油分解反応に及ぼす影響評価を目的としている。本研究における実施計画は,①油層環境の地球化学的および微生物学的な現場データの収集,②高温・高圧培養による原油分解メタン生成コミュニティーの獲得,③安定同位体を用いた原油分解メタン生成経路と関与微生物の特定,の3つである。 平成24年度では、国内の2カ所の油層(八橋油田と新堀油田)を研究対象に設定し、まずはこれらの油層の地球化学および微生物学的な現場データの収集を行った。地球化学的な解析としては油層水のイオン組成や原油成分、ガス組成とその同位体比の分析を行った。その結果、八橋油田は原油の生分解の軌跡が観察されないのに対し、新堀油田においては原油のn-アルカン成分やある種の芳香族炭化水素が特異的に生分解を受け、またC3H8やC4H10の炭素同位体比が13Cに富むなどの原油の生分解の軌跡が顕著に観察された。一方で油層の微生物学的解析としては油層水の微生物群集構造や原油分解に関与する機能遺伝子の分析を行った。その結果、八橋油田および新堀油田は共に未培養の微生物群が優占していた中で、新堀油田では原油成分の芳香族炭化水素の分解に関与するbssA遺伝子が多数検出された。 上記の現場解析に並行して、高温高圧条件での原油分解メタン生成反応の観察と微生物コミュニティーの獲得を試みた。培養条件は現場環境と同じ55℃、5MPaを設定し、経時的にメタン濃度や有機酸濃度を測定した。その結果、安定同位体トレーサー法に基づいて、新堀油田の培養実験において培養200日後に原油からのメタン生成を観察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの研究計画のうち、当該年度では2つを実施し成果を得ている。また、計画の中で最もチャレンジな課題であった原油分解メタン生成微生物コミュニティーの獲得においてもその目的を達成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に獲得した原油分解メタン生成微生物コミュニティーについて、安定同位体を用いた代謝産物のトレーサー実験や微生物群集構造解析を行い、原油分解のメカニズムを明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
原油分解のメカニズムを解明するにあたって、安定同位体試薬や遺伝子解析用試薬等の消耗品を購入する。また、微生物群集構造解析を行うにあたって必要となる塩基配列の外注分析費を使用する。 次年度は本研究の成果を積極的に発信する上で、国内外の学会で発表を行うための旅費を使用する。
|
Research Products
(2 results)