2012 Fiscal Year Research-status Report
新規ホスホリラーゼを活用した機能性オリゴ糖のライブラリー構築及び網羅的機能性評価
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24780095
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中井 博之 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00400002)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 酵素 / 糖 |
Research Abstract |
生体内糖質代謝に関与する糖質加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)による糖質合成収率は極めて高く、産業上有用な酵素になり得る。しかしながら、既知のホスホリラーゼは報告例が少なく、今後生産可能なオリゴ糖のバリエーション拡大には、新たな反応特異性を有するホスホリラーゼの発見が必須であった。本研究では様々な生物種のゲノム情報を活用して、これまでに報告例のない新規なホスホリラーゼを見出し、各種酵素の糖受容体特異性を明らかにすることで、新規オリゴ糖のライブラリー構築を試みた。Glycoside Hydrolase Family 65および94に属する真正細菌由来ホスホリラーゼ様タンパク質をコードする遺伝子群をPCR法により単離し、大腸菌による異種宿主発現系を確立した。得られた組み換え酵素の詳細な機能性解析の結果、1,2結合を有するグルコ2糖すなわちコウジビオースおよびソフォロースを糖受容体として認識することでα1,4結合を有する分岐グルコ3糖を生産する新規ホスホリラーゼ、またβ1,3結合を有するグルコ2糖であるラミナリビオースを選択的に合成するラミナリビオースホスホリラーゼなど、これまでに報告例のないホスホリラーゼを複数発見することができた。また今回得られた新規ホスホリラーゼ群の詳細な糖受容体特異性を調査することで、様々な新規ヘテロオリゴ糖の合成にも成功している。加えて新規ホスホリラーゼの発見および機能解明は、当該ホスホリラーゼ群が関与する新たな生体内糖質代謝機構を提唱することに繋がり、生物学的意義からも学術的に重要な研究と評価できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バイオインフォマティックスを活用した新規ホスホリラーゼの探索は予想以上の研究結果を生み出しており、“研究実績の概要”で示した酵素以外にも、これまでに12種の新規酵素の発見に成功している。さらに、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って、新規オリゴ糖ライブラリーの充実も達成されており、今後の研究進展が大いに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度発見した新規ホスホリラーゼ群の構造と機能の相関を明らかにするため、X線結晶構造解析による立体構造解明に取り組む。さらに、当該新規ホスホリラーゼ群を活用して、安価な天然糖質から新規オリゴ糖への高収率変換技術を確立した上で、ヒトに有益な生理活性を有するオリゴ糖を微生物学・免疫学的評価法により同定する。加えて、食品科学的評価結果に基づき、高機能性食品素材として利用も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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