2012 Fiscal Year Research-status Report
新規なL-アミノ酸脱水素酵素の機能と立体構造解析に基づく抗トリパノソーマ薬の開発
Project/Area Number |
24780105
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
米田 一成 東海大学, 農学部, 講師 (00469397)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 脱水素酵素 / L-スレオニン / NAD / トリパノソーマ / クローニング / 結晶化 |
Research Abstract |
既知のL-スレオニン脱水素酵素(ThrDH)は中鎖型脱水素酵素ファミリーに属し、これまでに常温菌や真核生物由来の酵素で機能解析が、超好熱菌由来の酵素で立体構造解析が行われている。一方、南極から単離された低温菌Flavobacterium frigidimaris及び、好熱菌であるThermoplasma volcanium由来のThrDHは、既知のThrDHと1次構造上非常に低い相同性しか持たないだけでなく、既知の本酵素の活性発現に必須とされる亜鉛結合モチ-フもなく、代わりにUDP-galactose 4-epimerase (GalE)に特有のモチ-フを有する、特異な酵素であることを既に報告している。ゲノム情報を使用し、この特異なGalEタイプThrDHホモログ遺伝子の生物分布を調べた結果、バクテリアやアーキアだけでなく、ヒトやトリパノソーマなどの真核生物にも存在していることを明らかにした。さらにヒトでは、ThrDH遺伝子は偽遺伝子となっていることから、ヒトのL-スレオニンの代謝は病原性寄生原虫であるトリパノソーマとは全く異なっていると考えられる。本研究ではトリパノソーマ由来ThrDHの機能と立体構造の解析を通じて、新規な抗トリパノソーマ薬開発の基礎を築くことを目的としている。 トリパノソーマのゲノム情報からThrDH遺伝子のcDNAをオーバーラップオリゴヌクレオチドを使用し、遺伝子を合成した後、pCold TFベクターに挿入し、大腸菌を用いてIPTGによる遺伝子の発現を行った。その結果、SDS-PAGEで予測される分子量にバンドが検出され、His-tagカラムによる精製にも成功した。また、活性染色法による酵素活性の確認を行った結果、NAD依存性ThrDH活性の検出に成功した。今後、本酵素の機能解析及び、立体構造解析を目的とした結晶化、X線回折実験を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画通り、トリパノソーマ由来ThrDH遺伝子のクローニング、作成したThrDH遺伝子の大腸菌を用いた発現、酵素の精製及び、酵素の機能解析を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策は平成25年度の研究実施計画通り、トリパノソーマ由来ThrDHの結晶化及び、立体構造解析による基質複合体構造の解明を行う。得られたThrDHの立体構造を基にした阻害剤の探索、及び酵素阻害実験を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は2件の学会で成果発表を行う予定であったが、実際助成金を使用した発表は1件しかできなかったため、繰越金が発生した。 平成25年度の研究費は遺伝子組み換え用試薬類、酵素精製用器具類、タンパク質精製用試薬類、酵素活性測定用試薬類及び、成果発表のための旅費に使用する予定である。特に遺伝子組み換え用試薬、タンパク質精製、酵素活性測定用に使用する試薬は高価であるため、平成24年度の繰越助成金を合わせて使用する予定である。
|
Research Products
(11 results)