2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群発症に関わる腸間膜脂肪細胞の機能解析と食品成分によるその制御
Project/Area Number |
24780118
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠木 亜季 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (60589208)
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Keywords | 腸間膜脂肪細胞 / メタボリックシンドローム / プロテオミクス |
Research Abstract |
近年、肥大した内臓脂肪細胞における遊離脂肪酸(NEFA)やアディポサイトカインの分泌異常がメタボリックシンドロームの発症に関わると報告されている。これまでの研究により、内臓脂肪である腸間膜脂肪細胞の小腸側と大腸側においてNEFA分泌能が異なることを見出したが、その詳細な機構は明らかではない。本研究では腸間膜脂肪細胞の小腸側と大腸側において機能の差異を解析することを目的とした。前年度の研究により、脂肪細胞の生理的応答は、脂肪の部位および刺激因子に影響を受けること、また、DNAマイクロアレイによる網羅的比較を行った結果、小腸側と大腸側において炎症性サイトカインおよび転写因子の発現が異なることを見出した。そこで今年度はさらに詳細な検証をするために、プロテオミクス解析を用いて小腸側および大腸側腸間膜脂肪細胞における差異を解析した。方法として、多数のタンパク質を効率よく解析できる、Yatesらが開発した多次元クロマトグラフィーとタンデム型質量分析装置とを組み合わせた多次元タンパク質同定技術(Multi-dimensional Protein Identification Technology:MudPIT)を利用したプロテオミクス解析を用いた。この解析から得られたデータはタンパク質データベースと照合して同定した。結果として、小腸側または大腸側腸間膜脂肪細胞にのみ発現しているタンパク質および共通に発現しているタンパク質を特定し、共通に発現しているタンパク質数は単独で発現しているタンパク質よりも多いことを見出した。さらに、これらのプロテオミクスの結果と先のDNAマイクロアレイから得られた結果を統合し、小腸側と大腸側腸間膜脂肪細胞における発現分子および生理機能の差異を見出した。以上の結果から、特定された因子がもつ機能は小腸側と大腸側腸間膜脂肪細胞に差異をもたらす可能性が考えられる。
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