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2012 Fiscal Year Research-status Report

生理機能解明を指向したウーロン茶ポリフェノールの生成機構解明及びその合成

Research Project

Project/Area Number 24780123
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

柳瀬 笑子  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60313912)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsカテキン / 酸化反応 / ウーロン茶ポリフェノール / ウーロンテアニン
Research Abstract

ウーロンテアニンは、ウーロン茶ポリフェノールの一種であり、2分子のカテキンが酸化縮重合した構造を持つ。ウーロンテアニンの生成機構解明及び効率的合成法の確立を目指し、本年度はこの反応のモデル反応の構築と酸化条件の検討を行なった。カテキンB環部のモデル化合物として、5位に各種アルキル置換基を持つ各種ピロガロール誘導体を用いて反応を行なったところ、目的とは異なる位置選択性を示し、2段階酸化され縮合した酸化2量体が得られることが明らかとなった。5位にカルボニル基をもつ誘導体では目的の位置選択性を示したことから置換基の立体障害あるいは相互作用が反応の位置選択性に関与している可能性が示唆された。
一方、カテキン類の一つであるEGCgの酸化反応を行ったところ、目的のウーロンテアニンが低収率ながら得られ、モデル反応で得られた酸化2量体と同様の部分構造を持つ生成物は全く得られなかった。この結合の位置選択性が異なる原因として、EGCgA環部の芳香環間での相互作用の関与を推定している。現在、この点を考慮し、これまで検討したピロガロール類縁体以外のモデル化合物を考案し検討している。さらに酸化剤に種類を検討したところ、塩化銅(II)を用いた場合に最もウーロンテアニンが多く得られることが明らかになった。この反応について詳細に追跡したところ、反応中間体と推定される化合物の存在を確認し、それらの単離に成功した。それぞれの化合物より、最終生成物であるウーロンテアニンの生成が確認できたことから、反応中間体であることを立証した。そのうち1種については、NMR等の機器分析により構造決定し、分子内にビシクロ環構造を持つ化合物であることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請者はウーロンテアニンの化学反応機構を、カテキン2分子のB環部におけるイオン的なカップリング反応⇒酸化に伴う分子内環化反応⇒一酸化炭素の脱離反応の三段階であると推定し、この仮説を立証するために、24年度は、生成機構解明のためのモデル反応系の構築を行なう計画であった。しかし、計画当初にデザインしていた複数のモデル化合物が、カテキンからウーロンテアニンが生成する際と異なる反応性を示したり、モデル化合物自身が不安定であることが判明し、現在のところモデル反応系の構築に至っていない。
そのため、計画を一部変更し、カテキン自身(EGCg)を用いた推定生成機構の証明を検討した。その結果、反応条件(温度、溶媒、反応時間など)を制御し、HPLC追跡やNMR実験により2種類の反応中間体と推定される化合物の存在を確認し、それらの単離に成功した。単離したそれぞれの化合物より、最終生成物であるウーロンテアニンの生成が確認できたことから、反応中間体であることを立証した。また、そのうちの1種類は各種機器分析により構造決定に至った。
以上のことから、今年度の計画のうち、モデル反応に関しては未達成であるが、カテキン自身を用いることで推定反応機構の立証が進みつつあるといえるため、研究の進捗状況はほぼ計画どおりであると判断した。

Strategy for Future Research Activity

研究開始当初、H25年度はウーロンテアニン類の効率的合成法の確立を計画していたが、昨年度に未達成の計画も含め、以下の3点について重点的に研究を進める。
1、カテキン自身(EGCg)を用いた反応において得られた中間体のうち、構造不明のIIの構造決定を行なう。構造決定には岐阜大学生命科学総合研究支援センター所有のNMR、MS等を用いる他、誘導化反応などの有機合成化学的手法を用いる。
2.昨年度未達成のモデル反応系を完成させる。特に反応開始段階であるカテキン2分子のB環部におけるイオン的なカップリング反応の立証のためにはモデル化合物を用いた詳細な解析が必要であると考える。これまでに知見から新たなモデル化合物を2種考案しており、それらを調製し、モデル反応として利用できるか検討を行なう。
3.ウーロンテアニンの化学合成法を確立する。昨年度、収率は不十分であるがウーロンテアニンの合成には成功している。今後、収率の改善を図るために、反応時の副生成物の有無等を確認することで、適切な反応条件設定する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該研究費が生じた状況:①ウーロンテアニンの生成機構をモデル反応を用いて証明するために、当初、これまでの研究経験から、反応性を制御して反応中間体を得るためには低温条件下で反応を行なう必要があると推測していたため、マグネチックスターラー付き低温恒温水槽を申請していたが、研究を進めていく過程で、この反応においては、低温恒温水槽を要するような極低温での反応が進行しないことが判明し、低温恒温水槽の購入の必要がなくなった。一方、中間体の単離・構造決定のために逆相HPLCによる分離を頻繁に行っており、効率よく研究を進めるために、すばやく溶媒を除去することができる遠心エバポレーターを購入した。そのため実際の購入金額との間に差額が生じた。
②H24年度に計画したモデル反応系の構築に時間がかかったため、NMR等の機器分析に係る実験が遅れたため、機器使用料及び重溶媒の購入が予定より少なかった。
使用計画:次年度の研究費に関しては、当初の予定通りに使用する。今年度未使用分に関しては、NMR重溶媒購入費、機器分析使用料に充てたい。

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] カテキン類の酸化縮合反応に関する研究

    • Author(s)
      戸松薫、柳瀬笑子
    • Organizer
      日本農芸化学会中部支部会165回例会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
  • [Presentation] 茶カテキンB環部の酸化生成物に関する研究

    • Author(s)
      廣瀬紗弓、柳瀬笑子
    • Organizer
      日本農芸化学会2013年度大会
    • Place of Presentation
      東北大学
  • [Remarks] 岐阜大学応用生物科学部生物有機化学研究室ホームページ

    • URL

      http://www1.gifu-u.ac.jp/~biochem/

URL: 

Published: 2014-07-24  

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